「退職金と年金があれば、なんとかなるだろう」そう高を括っていた現役時代の自信が、老後になって崩れ去る――。そんな「老後破綻」予備軍が、実は大企業勤めのエリート層に増えています。本記事では石井さん(仮名)の事例から、FP dream代表FPの藤原洋子氏がさまざまなライフイベントと同時に資産をつくる方法について解説します。※個人の特定を避けるため、内容の一部を変更しています。
「食も細くなるし、付き合いも減るし、老後は大してお金がかからない」はずが…退職金2,000万円・年金月27万円の70歳元部長、想定外の老後破綻で漏らした「私は算数すらできない」エリートの悲哀 (※写真はイメージです/PIXTA)

同じ結末を迎えないために、いまからできる3つの備え

では、私たちはいまからなにをすべきでしょうか。70歳になってから警備の仕事で生活費を補う人生を否定するわけではありません。でも、それが“選択”なのか“やむを得ない現実”なのかで意味は大きく異なります。残酷な未来を回避するための「3つの備え」を提案します。老後の安心は、肩書きではなく設計力で決まるのです。

 

1. 家計のダウンサイジングを意識

定年退職してから生活を小さくするのは至難の業です。固定費(サブスク、過剰な保険、通信費など)の見直しで、30代・40代代のうちから想定した予算で暮らす訓練を始めましょう。支出構造を軽くすることは、将来の自由度を高める行為でもあります。

 

2. 「長く働くためのスキル」と「健康」の維持

いまの時代、老後資金を貯金だけで賄うのは不可能です。最大の防衛策は「細く長く稼ぎ続けること」。会社の名刺がなくても稼げる小さなスキル(副業、技能、地域貢献など)を育てましょう。「月5万円」でも稼ぎ続けることができれば、年金不足分を補う強力な武器になります。そのためには、なによりも「動ける体」を維持する健康投資が最優先事項です。

 

3. 資産の「見える化」と「最悪のシナリオ」の想定

「なんとかなる」という思考停止を捨て、現実を直視しましょう。

 

〇キャッシュフロー表の作成:90歳まで生きた場合、いつ資金が底をつくか可視化する。

〇インフレ・増税リスクの織り込み:物価が上がり続け、年金額が実質的に目減りすることを前提に計画を立てる。つみたてNISAやiDeCoなど、税制優遇制度を活用し、長期・分散・積立で資産を育てる設計に。

〇孤独死・介護リスクへの対策:金銭面だけでなく、周囲とのつながりを持ち、いざというときのセーフティネットを確認しておく。

 

「自分は大丈夫」という呪文は、現実の前では無力です。いますぐ現実を直視し、少しずつでも「守り」を固めること。それが、数十年後の自分を救う唯一の道となります。

 

 

藤原 洋子

FP dream

代表FP