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統計が示す「狙われる高齢者」の深刻な現実
佐藤さんのような「資産があり、自信もある」高齢者が、一瞬にして破産危機に直面する――。
警察庁が公表している『特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等』によれば、特殊詐欺の認知件数および被害額は依然として高水準で推移しています。特筆すべきは被害者の年齢構成。同資料では、特殊詐欺被害者のうち65歳以上が約7割(70%前後)を占めていると報告されています。
とりわけ佐藤さんが陥ったような、インターネットやSNSを端緒とする「SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺」の被害は急拡大しています。警察庁の同統計によれば、令和7年上半期時点での被害額の中心層は70代(105.5億円)、次いで60代(99.4億円)であり、高齢層が被害総額の大きな割合を占めています。これは、一定の金融資産を保有する層が、老後不安や「資産を増やしたい」という心理を巧みに利用されている実態を示しているといえるでしょう。
さらに、内閣府『令和7年版高齢社会白書』では、高齢者が各種トラブルに巻き込まれる背景として、孤立や家族とのコミュニケーション不足が指摘されています。被害を「家族に知られたくない」という心理的抵抗が、結果として相談機会を奪い、被害拡大を招く構造も浮かび上がってきます。
「自分は知識があるから大丈夫」という慢心は、巧妙化する詐欺スキームの前ではほとんど意味を持ちません。統計が示しているのは、老後資金計画において最も警戒すべきリスクのひとつが、運用の失敗や疾病ではなく、悪意ある第三者による資産の収奪であるという現実です。