年金月30万円、資産6,000万円。勝ち組人生を歩んできた76歳主婦でしたが、妹から届いた「孫6人の年賀状」を見て、思わず胸がざわつきました。お金も地位も、自分のほうが上のはず。それなのに、なぜ——。夫の定期検診をきっかけに浮かび上がったのは、資産では埋められない老後の不安でした。未婚の子を持つ親世代が、今、静かに直面し始めている現実とは? FPの三原由紀氏が解説します。
私のほうが全部「上」なのに…都内在住・資産6,000万円・年金月30万円の76歳主婦。勝ち組人生のはずが、地方で暮らす“普通の妹”に抱く「ただならぬ感情」【FPの助言 】
正解はなくても、選択肢はある…未婚の子がいる世帯が今からできる現実的な整理
未婚の子を持つ親世代に、万能な解決策はありません。ただし、「何も決めない」ままにしておくことが、結果的に子どもに重い判断を背負わせる場合があります。
まず考えたいのは、「家を継がせる」という前提を一度外してみることです。誰も住まない家を残さないために、売却や管理の限界を含め、出口を想定しておく。それだけでも、将来の選択肢は整理されます。
次に大切なのは、「息子にすべてを任せきりにしない」ことです。「自由にしていい」という言葉は、時に優しさではなく、判断の丸投げになります。結論を押しつける必要はありませんが、親としての考えを伝えておくことには意味があります。
墓についても同じです。継いでもらうかどうか、負担を減らす方法はないか。「自分の代で区切る」という選択も、時代に合った前向きな判断といえるでしょう。
こうした考えをどう伝えるか。必ずしも最初から法的な書類を整える必要はありません。たとえば、エンディングノートに「どう考えていたのか」「どこまで整理してほしいのか」といった気持ちを書き残しておくだけでも、子どもが迷わずに済むことがあります。
形式よりも大切なのは、親の考えが伝わることです。妹の家には、孫がいて、墓を継ぐ人がいて、「続いていく」という安心感がありました。でも、美智子さんの家には、それがない。だからこそ、今、自分たちで整理しておく必要がある——そう気づいたのです。
今すぐ答えを出す必要はありません。ただ、考え始められるのは、元気な今しかありません。あなたの家では、「その先」の話をしたことがあるでしょうか。それは、子どものためだけでなく、あなた自身の安心のためでもあるのです。
三原 由紀
プレ定年専門FP®