年金月30万円、資産6,000万円。勝ち組人生を歩んできた76歳主婦でしたが、妹から届いた「孫6人の年賀状」を見て、思わず胸がざわつきました。お金も地位も、自分のほうが上のはず。それなのに、なぜ——。夫の定期検診をきっかけに浮かび上がったのは、資産では埋められない老後の不安でした。未婚の子を持つ親世代が、今、静かに直面し始めている現実とは? FPの三原由紀氏が解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
私のほうが全部「上」なのに…都内在住・資産6,000万円・年金月30万円の76歳主婦。勝ち組人生のはずが、地方で暮らす“普通の妹”に抱く「ただならぬ感情」【FPの助言 】
夫の定期検診が突きつけた「目を反らしてきた現実」
そんな感情を抱いた理由に気づいたのは、夫の定期検診がきっかけでした。
「念のため、再検査をしましょう」
医師の言葉に、夫は「大したことないだろう」と笑っていましたが、美智子さんの胸には、これまで意識せずに済んでいた考えが浮かびます。
——もし、夫が先にいなくなったら。
——この広い家は、どうなるのだろう。
——自分が亡くなったあと、息子はどうするのか。
ちょうどその頃、実家の墓じまいをすることになり、久しぶりに妹と電話で話す機会がありました。「うちは長男が、墓は自分が継ぐって言ってくれてるの」。妹の声は、明るく、迷いがありませんでした。
美智子さんは、何も言えませんでした。自分は広い家に夫婦二人だけ。部屋は空いたまま、庭の手入れも負担になりつつあります。息子は夫が購入した都心のマンションに住み、実家に戻る気配はありません。
息子は結婚の予定もなく、将来も一人かもしれない。だからこそ、墓を守る責任を押しつけたくない。そう考えて、話題にすることを避けてきたのです。
お金では負けていない。それなのに、なぜか心がざわつく……妹の家には、「続いていく」何かがある。でも、自分の家には——。そのとき美智子さんは改めて痛感させられました。お金があっても、埋められない不安があるのだ、と。