(※写真はイメージです/PIXTA)
仕入れ高騰で資金ショート
東京都内で10年以上営業していた人気飲食店、A社では、2025年に主要食材の仕入れ価格が前年比で約30%上昇した。
帝国データバンクの分析によると、倒産原因の43.3%が原材料費高騰であり、A社の経営状況は統計と一致している。
店主は「値上げすれば客足が減る。値上げしなければ赤字が膨らむ。どちらにしても苦しい」と語る。さらに人件費も前年より15%増加し、アルバイトの確保も困難になった。資金繰りは悪化の一途をたどり、12月、A社は事業の継続を断念した。
TDBの調査では、物価高倒産企業の価格転嫁率は39.4%にとどまり、中小企業がコスト増に対応できない構造的問題が浮き彫りになっている。
物流コストの急増が致命打
名古屋にある中規模の食品製造業、B社も同様の苦境に陥った。燃料費高騰により配送コストは前年比で約25%増となり、受注量は変わらないものの、販売価格への転嫁は困難であった。
帝国データバンクの業種別統計では、製造業の倒産は174件で、燃料費や原材料費上昇が直接的要因となったケースが目立つ。工場では従業員が手作業で梱包・仕分けを行い、時間外労働も増加した。物流遅延や顧客からのクレームも重なり、12月に運転資金が底をついた形だ。下請け業者も影響を受け、地域経済にも波及した。
事例から見える共通点と統計の裏付け
両社に共通するのは、原材料や燃料費の高騰が収益を直撃し、価格転嫁が難しい中小企業の脆弱性が露呈した点である。資金繰りの悪化が倒産の直接的要因となったことも共通している。
TDBの調査による倒産要因の割合は、原材料高43.3%、人件費増24.8%、エネルギーコスト増24.2%であり、統計と現場事例は一致している。
今後の展望と政策支援
2026年1月には、中小受託取引適正化法が施行され、サプライチェーン全体で適正な価格転嫁が促進される見込みだ。中小企業の資金繰り改善や倒産抑制への効果が期待される。
しかし、TDBの分析では、原材料費や人件費の高止まりが続く見通しであり、現場の苦境は容易に解消されない。2026年も倒産リスクは高水準で推移すると考えられる。