現代の日本において、「8050問題」は、親が90代、子が60代となる「9060問題」へと移行しつつあります。親の年金や蓄えに頼り、平穏な日常を維持している世帯は少なくありませんが、そのベースは非常に危ういバランスの上に成り立っています。特に、子の世代が定年を迎える年齢になっても経済的に自立できていない場合、親の介護や病気、あるいは相続のタイミングで、一気に生活が破綻するリスクを孕んでいるのです。
親が死んだらどうするんだ…「年金月20万円」88歳父から「月5万円の小遣い」をもらい、のほほんと暮らす63歳息子。ある日チラ見した「預金通帳」に顔面蒼白のワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

浮き彫りになる「高齢者世帯」の家計収支の実態とリスク

内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)』によると、15歳~64歳の生産年齢人口において推計146万人、50人に1人がひきこもり状態。また就業経験は、15歳~39歳で62.5%、40歳~69歳で90.3%。ひきこもり状態になったきっかけは「退職」と答えた人の割合も比較的高く、ひきこもり状態の人の多くは、社会に出て何らかの経験をしていることがわかります。

 

一方で、総務省統計局『家計調査 家計収支編 2024年(令和6年)平均』からは、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における、厳しい家計収支がみえてきます。同調査によると、当該世帯の「実収入」は月平均で約25万2,818円。ここから税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いた可処分所得は、約22万2,462円となっています。

 

対して、食費や住居費、光熱費、医療費などの消費支出は、月平均で約25万6,521円に達しています。この結果、毎月約3万4,059円の不足が生じているのが、現代の高齢者夫婦世帯の平均的な姿です。ここに「無職の子」の生活費が加われば、貯蓄の枯渇スピードが加速度的に速まるのは当然のことです。

 

このような状況下、いわゆる「8050問題」が「9060問題」へと移行し、早急な対応が求められています。親の年金があるからこそ成り立っていた生活は、いずれ訪れる親の死とともにさらに困窮することは明らかです。経済的困窮から、社会的孤立に陥るケースが後を絶ちません。まずは自治体の「ひきこもり地域支援センター」や「福祉課」への相談が第一歩です。