配偶者との死別は、精神的な悲しみだけでなく、経済的な不安も同時に連れてきます。特に、「遺族年金」に対する誤った認識は、その後の生活設計を大きく狂わせる要因となりかねません。
年金月25万円・71歳夫が急逝。「遺族年金は亡夫の年金の4分の3」と聞いていた66歳妻、実際の年金額に衝撃「何かの間違いでは」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「働けるうちは働こう」普通の会社員だった夫の堅実な選択

都内の賃貸マンションで一人暮らしをする大塚美和子さん(仮名・66歳)。夫の信二さん(享年71・仮名)を突然の脳梗塞で亡くしました。

 

信二さんは地元の食品商社に勤める真面目が取り柄の会社員で、60歳の定年後も再雇用で65歳まで勤務。さらにその後も「まだ身体が動くから」と、ビルの管理業務の仕事を見つけ、70歳になるまで働き続けました。

 

「主人は常々、『老後は長いから働けるうちは働く。その代わり、年金は受け取らずに増やすんだ』といっていました。そういうことには疎い人ですが、知り合いにもそういう人がいて。意味もわからず、真似していただけだと思うのですが」

 

通常65歳から受け取ることのできる老齢年金ですが、実際に受け取るタイミングは60~75歳と幅があります。受取開始のタイミングを遅らせることを年金の繰下げ受給といい、1ヵ月遅らせるごとに年金は0.7%増。1年で8.4%、5年で42%、10年で84%と増額されていきます。

 

「主人は70歳になってから受け取り始めたのですが、月に25万円くらいになって。私の年金が月7.5万円くらいで、2人合わせると月に32万円強。もちろんこれは額面ですが、これだけあれば年金だけで十分暮らしていけると安心していたんです」

 

生命保険文化センター『生活保障に関する調査』(2025年度)によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は月額で平均23.9万円。ゆとりある老後生活費は平均39.1万円です。

 

大塚さん夫婦、年金だけで悠々自適な老後とまではいきませんが、十分安心できる年金額だったのではないでしょうか。 しかし、その安堵は長く続きません。受給開始からわずか1年足らずで、信二さんは帰らぬ人となってしまったのです。

 

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