(※写真はイメージです/PIXTA)
「俺は100歳まで生きる」強気だった父の誤算
都内在住の会社員、佐藤雄二さん(仮名・44歳)は、亡くなった父・健一さん(仮名・享年72)について、複雑な心境を語ってくれました。健一さんは現役時代、大手メーカーに勤め上げ、退職金と貯蓄を合わせて5000万円近い資産を持っていました。
「父は健康だけが取り柄のような人でした。『俺は100歳まで生きる』が口癖で、老後の資金計画についても、かなり強気でしたね」
健一さんが選んだのは、年金の繰下げ受給です。通常65歳から受け取れる年金を70歳以降まで繰り下げることで、受給額を増やす選択をしました。改正高年齢者雇用安定法の施行などの影響もあり、70歳まで働くことも珍しくない時代。「働けるうちは働いて、年金はあとでたくさん貰う」というのが健一さんのプランでした。
72歳になり、いよいよ受給を開始。増額率はなんと58.8%にもなり、月額はおよそ28万円。
「父は『待ったかいがあった』と通帳を見せてくれました。預貯金などの資産は5000万円近くあり、毎月高額な年金もある。息子としても、これで親の老後は安泰だと思っていました」
しかし、その安心は長くは続きませんでした。受給開始からわずか半年後、健一さんは心筋梗塞で急逝してしまったのです。
「あっけない幕切れでした。父が受け取った年金は、ほんの数回分だけ。もし65歳から貰っていれば、7年で1500万円弱を受け取っていたはずです。それなのに実際に受け取れたのは200万円に満たない。『年金が増えた』とあんなに喜んでいたのに……」
この経験から、雄二さんは自身の老後について固く心に決めていることがあります。
「私は絶対に繰下げ受給はしません。65歳になったら、すぐに受け取ります。いつ死ぬかなんて誰にも分からない。父を見ていて、いくら計算上の数字が増えても、受け取れなければ意味がないと痛感しました」
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