長年勤め上げた会社を定年退職し、これからは夫婦水入らずで穏やかな老後を過ごす。現役時代、忙しさに追われていた人ほど、そんな第二の人生に夢を膨らませるものです。しかし、現実はそう甘くはありません。毎日顔を合わせるようになった途端、これまで見えていなかった互いの溝が露わになることがあります。夫にとっては些細な甘えや頼み事でも、長年家庭を守ってきた妻にとっては、許しがたい重荷となるケースが少なくないのです。
「母さん、俺のパンツどこだ?」退職金2,800万円・預貯金4,000万円の定年夫が、妻から突然拒絶された理由【最新の調査データが明らかにする定年夫婦の実態】 (※写真はイメージです/PIXTA)

妻たちが突きつける「名もなき家事」への不満

定年退職し、時間を持て余してしまう夫。家にいる時間が増えたなか、家事を「手伝えばいい」と考えがちですが、妻が求めているのは「自分の生活を自分で管理する能力」です。このギャップについて、最新の調査データが興味深い実態を明らかにしています。

 

株式会社ビースタイル ホールディングス/しゅふJOB総研が既婚女性に対して行ったアンケート調査によると、夫の家事・育児に対して「不満なし」が51.5%と、過半数を超えました。一見すると夫婦間の協力体制は進んでいるように見えます。夫が実際に取り組んでいた家事の上位は「ゴミ出し(44.6%)」や「買い物(39.2%)」といった、具体的で分かりやすい家事でした。

 

しかし、妻側が「もっと積極的に取り組んだ方がいい」と考えている項目のトップは「掃除や片づけ(41.1%)」、次いで「名もなき家事(31.4%)」となっています。特に注目すべきは、妻が求めるレベルと夫の実行レベルの差を示す「取り組み不足度」において、「名もなき家事全般」が最大となっている点です。

 

「名もなき家事」とは、たとえば「裏返しの靴下を直す」、「トイレットペーパーを補充する」、「シャンプーの詰め替えを確認する」など、生活を円滑に回すための細かな作業の総称。高橋さんの「俺のパンツどこだ?」発言は、まさにこの名もなき家事を妻に丸投げしている証拠といえます。

 

調査のフリーコメントには、妻たちのシビアな本音が並びます。 「ゴミを捨てただけで『こんなにやった感』を出されるのが情けない」「何をしていいか分からず聞いてくることに疲れる」――。これらは、定年後も夫の世話を焼き続けなければならない妻たちの悲鳴といえるでしょう。

 

5割以上が「不満なし」と答えている背景には、共働き世帯の増加に伴い、現役世代を中心に家事シェアが進んでいる現状があります。しかし裏を返せば、専業主婦が多い定年世代を含む家庭では、依然として「生活力のない夫」が妻の負担になっていることを示唆しています。

 

定年後の夫婦関係を平穏に保つためには、夫側が意識を根本から変える必要があります。「長年働いてきたのだから世話をされて当然」という考えを捨て、自分の身の回りのことは自分でする。それが、定年後の熟年離婚という、よくある最悪の結末を回避する第一歩になるはずです。

 

[参考資料]

株式会社ビースタイル ホールディングス『夫の家事育児「不満なし」5割/30代以下は6割超、世代間に差』