年末年始、久しぶりに実家へ帰ったという方も多いのではないでしょうか。そこで待ち受けているのが、親からの遠慮のない小言です。かつては「結婚はまだか」が定番でしたが、今、その内容に大きな異変が起きています。50代独身者を対象とした最新の調査から、結婚の催促以上に心をえぐる「ある現実的な言葉」と、独身者がひそかに抱える深い葛藤が見えてきました。
帰省した50代独身を襲う「結婚しろ」より残酷な現実。親の口から出た「老後はどうする」という絶望的な問い (※写真はイメージです/PIXTA)

7割が抱える「将来不安」と動けないジレンマ

親からそこまで言われれば、何か行動を起こせばいいではないか、と思うかもしれません。しかし、当事者である50代独身者たちも、決して楽観視しているわけではないのです。

 

同調査によれば、これからの人生(老後含む)について、73.3%もの人が「不安のほうが大きい」と回答しています。多くの50代独身者は、自由を謳歌している「独身貴族」というよりも、圧倒的な将来不安という霧の中を歩いています。

 

自分が倒れたらどうなるのか、認知症になったら誰が気づいてくれるのか。そうした不安を抱えながらも、なぜ彼らは具体的な行動、例えばパートナー探しなどに踏み出せないのでしょうか。

 

そこに立ちはだかる最大の壁が「面倒くさい」という感情です。

 

50代からのパートナー探しに対するイメージを聞いたところ、最も多かった回答は「面倒くさい・エネルギーがいる(29.2%)」でした。長年、自分一人のペースで生活を構築してきた50代にとって、今さら他人と関係を築き、生活リズムを合わせることは、想像以上にハードルが高いのです。

 

「一人は寂しいし、老後は不安。でも、今から誰かと出会い、関係を構築するのは億劫だ」。この「不安」と「面倒」の板挟みによる強烈なジレンマこそが、50代独身者がその場から動けなくなっている最大の理由でしょう。

 

この状況をさらに複雑にしているのが、50代という世代特有の価値観です。現在の50代は、昭和的な「結婚して当たり前」という価値観と、多様性を認める令和の空気感の両方を知っている世代です。若いうちは仕事に邁進し、気づけば適齢期を過ぎていたというケースも少なくありません。

 

親世代は「誰かがいれば安心」というシンプルな解決策を提示しますが、50代の子にとっては、単に誰かいればいいわけではありません。経済力、健康状態、親の介護問題など、考慮すべき変数が多すぎるのです。

 

調査では、親からのプレッシャーやふとした孤独感を通じて、3人に1人(33.7%)が「やはりパートナーが欲しい」と再認識したという結果も出ています。しかし、残りの約6割以上は、それでも「面倒」が勝るか、あるいは諦念のなかにいることになります。

 

帰省時の親との会話は、確かに耳が痛いものです。「老後はどうする」という問いは、現在の生活を否定されたように感じるかもしれません。しかし、この不快なプレッシャーを、単なる嫌味として受け流すのではなく、自分自身の人生の「棚卸し」をするきっかけと捉えることができるでしょう。

 

親の言葉は、フィルターなしの直球であるがゆえに、私たちが普段、見て見ぬふりをしている「不都合な真実」を突きいています。

 

パートナーを探すにせよ、一人で生きていくための盤石な資金計画を立てるにせよ、あるいは地域のコミュニティに参加するにせよ、「なんとかなるだろう」という思考停止から抜け出すタイミングは、まさに親から痛いところを突かれた、その瞬間なのかもしれません。

 

[参考資料]

Goens株式会社『帰省で傷つく言葉、1位は「結婚」より「老後」。50代独身に「効く」親の一言』

 

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