(※写真はイメージです/PIXTA)
65歳以上における「遺族厚生年金」と「老齢厚生年金」の関係
今回の事例のように、共働き夫婦で双方が厚生年金を受け取っている場合、配偶者が亡くなった際の年金受給額には注意が必要です。
一家の生計を支えていた大黒柱を亡くした際、残された遺族の生活を保障するために国から支給される公的年金である遺族年金。65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金の両方の受給権がある場合、併給調整が行われます。その流れは、「①まずは自分の老齢厚生年金を全額受給する」→「②遺族厚生年金の額が自分の老齢厚生年金の額を上回る場合、その差額が遺族厚生年金として支給される」といったもの。
つまり、残された妻(または夫)自身の厚生年金額が多いほど、支給される遺族厚生年金の実質的な受取額は少なくなります。「自分の年金+夫の遺族年金」が単純に合算されるわけではないのです。
なお、65歳以上の遺族厚生年金の額は、以下のA・Bのうち高いほうが採用されます。いずれにせよ「自分自身の年金」が優先的に充当される仕組みは変わりません。
A:亡くなった配偶者の老齢厚生年金(報酬比例部分)× 3/4
B:(亡くなった配偶者の老齢厚生年金(報酬比例部分)× 1/2)+(自身の老齢厚生年金(報酬比例部分)× 1/2)
金額に関わらず、万一の際にもらえると思っていた金額がもらえないとなると、生活設計が崩壊します。万一を想定し、年金事務所などで年金額を試算してもらうと安心です。
[参考資料]
日本年金機構『遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)』