コアなファンがいれば勝てる
シン富裕層は、海外の人たちに似ています。iPhoneを好きな人は多いけど、どんどん値上げされてハイエンドの最新機種のiPhone 17 Pro Max(256GB)などは約1,200ドル(日本では約18万円)で売られています。TD Cowenというアメリカに拠点を置く投資銀行が、iPhoneの製造原価に関するレポートを投資家向けに公開しているのですが、そこの試算だと最新のiPhone 17 Pro Max(256GB)でも、製造原価はたった485ドル(約7万2,000円)程度なのです。
もちろん輸送費や諸経費を入れていくとコストは嵩みますが、アップル社は悪意ある価格設定で酷いという評価にはなりません。顧客が不満であれば買わないだけで、それでも欲しければ購入するものなのです。
自分の提示する価格で買ってくれるファン、需要と供給が自分とぴったり合う相手というのは、スモールビジネスであれば少なくても構いません。1,000人どころか100人であっても、自分に必要な対価が稼げれば大丈夫です。他人と比較されない、大企業の入ってこない、コアなマーケットを確保できればいいのです。それがスマホ一つで、世界中の人をターゲットにして実現できる時代になったのだから、挑戦しない手はありません。
ちなみに世界最古の企業は、日本の建設会社「金剛組」です。飛鳥時代の西暦578年、聖徳太子が朝鮮半島の百済国から招いた宮大工が創業したといいます。金剛組がなぜそんなに長く存続できたのかというと、明治時代までは大阪・四天王寺のお抱え宮大工で、つまりコアなマーケットをがっちりと確保していたからです。
明治に入って四天王寺の経済状況が苦しくなり、金剛組も四天王寺のお抱えのままではやっていけなくなると、少しずつ全国の寺社の修繕を手がけるようになっていきます。宮大工というニッチなマーケットですが、適正価格を払ってくれる顧客がいれば、企業はこれほど長く続けられるということです。
しかし、1990年代のバブルの頃に専門ではなかったマンションやオフィスビルの建設に参入し、2006年から高松建設の傘下に入ることになりました。現在は神社仏閣というコアなターゲットに絞って再生中とのことで、やはり売上の伸びだけを目指さず、コアな顧客をがっちりつかむことは古い会社であっても重要なことだと言えるでしょう。
大森 健史
株式会社アエルワールド
代表取締役