富裕層向け投資家ビザに特化して100億円以上の申請業務に携わる中で、20年、2万人以上の成功者の歩みを詳細に知る機会を得た著者の大森健史氏は、そこから見えた「シン富裕層(※)」の共通点を、閉塞感を抱く日本人、とりわけ若者に伝えるべく、本書の発刊に至った。本記事では、大森健史氏の著書『進化するシン富裕層』(日刊現代)より一部を抜粋・再編集して、「シン富裕層」の多くに好んで選ばれる「タワマン」の実態について解説します。(※親が裕福だったわけではなく元々は「ごく普通の人」でありながら、インターネットやスマートフォンの普及を背景とした起業、暗号資産、動画配信、情報ビジネスなどを通じて、わずか数年で一代にして巨万の富を築いた新しいタイプの富裕層)
「日経平均10万円なら港区タワマンは10億円に」ある富裕層が語る持論。なぜ一部のエリートは“世間の悪評”をスルーして「自宅投資」に走るのか

タワーマンションという見えない悪魔

シン富裕層、とくに都内在住のビジネスエリートやビジネスオーナー型のシン富裕層の多くは、大規模「タワーマンション(タワマン)」が好きです。実は私も、タワマン好きの一人です(笑)。でもなぜか、世の中にはタワマンを嫌う人がたくさんいます。

 

TBSテレビ系の「砂の塔〜知りすぎた隣人」(2016年)や韓国では「ペントハウス」(2020年)といったドラマがヒットしました。いずれもタワマンを舞台に富裕層たちが不倫などドロドロの人間関係を演じるという内容です。下世話なネット記事で「タワマンには上層階と下層階とでヒエラルキーがある」などと書かれ、それを信じている人が多いのです。

 

実際、私はそれほど大きくないミニタワマンの中層階に住んでいますが、馬鹿にしてくる上層階の住民など当然ですが一度も会ったことはなく、ヒエラルキーを感じたことはありません。「上層階住民と下層階住民のエレベーターが違うのも、ヒエラルキーがあるからだ」などというのも聞いたことがありません。もしみんなが同じエレベーターを使っていたら、どの階の住民もなかなかエレベーターに乗れなくて不便だから、上層階と低層階とで便宜的に分けているだけのことです。

 

そのことについて、ほとんどの住民は気にしていません。週刊誌などのメディアにはアンチの「タワーマンションライター」なる人物がいて、定期的に「タワマンは見かけが醜悪だから流行らない」「タワマンは建て替えた実績がなく、今後建て替えのときは大変なことになる」などと書き立てています。

 

しかしタワマンの建て替えの実績はなくても、たとえば再開発をしている東京駅八重洲口周辺の超高層ビル群の建て替えなどは進んでいるわけですから、できないわけはないのです。

都心部のタワマンは利益が出せた時期もあった

タワーマンションというだけで、ひとくくりに嫌悪する人たちが一定数いて、さらにはタワマンという言葉自体が「嫌な金持ちの代名詞」のようにもなっています。「あいつ最近、カネ回りが良くて怪しいんだよ。フェラーリに乗ってタワマンに住んでいるんだよね」という言葉や、若手芸人などの「俺ももっと頑張って売れて、タワマンに住みたいんですよ」という発言は、タワマンが金持ちの代名詞となっていることを表しています。

 

しかしタワマンに住んでいるからといって、けっして偉いわけでもすごいわけでもありません。タワマンは集合住宅の一つに過ぎず、建っている土地が都心部で価値があって貴重だから、上に高く建てて階数を稼いでいるだけです。10階建ての大規模マンションとどう違うのかというと、別にそれほど違いはありませんし、当然、タワマンのほうがいいだとか10階建ては悪いだとかという話でもありません。

 

シン富裕層はおおむねマンション投資やタワマンが大好きで、「あそこに新しいタワマンが建つらしい」「あっちのタワマンの売れ行きはこうだった」といった情報に詳しいものです。そうした人気が根強いからこそ、タワマンは高値でどんどん売れています。

 

彼らはタワマンに住みながら、値上がりしたら売って買い換える、という「自宅投資」をしています。ここ10年ほどの都心3区(千代田区、中央区、港区)のタワマンは、建設中に完売し、完成した途端に1割から2割はほぼ値上がりしていて、よっぽど目利きが悪くなければ確実に利益を出すことができたからです。

 

あるシン富裕層は、「都心部のタワマンの価格は大体、日経平均株価の動きとほぼ連動して推移している」と言っていました。本当かどうかはわかりませんが、彼の理論でいくと、日経平均株価が5万円台の今、港区のタワマンが平均4億~5億円/80平方メートル程度ですから、もし今後、株価が10万円台になれば、港区のタワマンは8億~10億円の値をつけるようになるかもしれません。要は、まだまだ値上がりする余地はあるかもしれない、ということです。

 

ただ、昨今の新築マンション価格の急騰を踏まえると、今までどおりのやり方ではうまくいかなくなってきていると思います。多額のローンを組める人も多くはありません。では、どうするべきなのか。

 

価格が下がりにくい物件を購入するという点は変わりません。そこで立地条件は譲らず、築年数で妥協するという案もよいでしょう。新耐震基準(昭和56年適用)以降の中古マンションをリノベーションしたり、一定の現金がある人であれば、住宅ローンが組みにくい賃貸中のマンションを投資物件として購入し、居住者が退去するまで待つという手もあります。いろいろと新しいノウハウを考える時期にきたのかもしれません。