富裕層向け投資家ビザに特化して100億円以上の申請業務に携わる中で、20年、2万人以上の成功者の歩みを詳細に知る機会を得た著者の大森健史氏は、そこから見えた「シン富裕層(※)」の共通点を、閉塞感を抱く日本人、とりわけ若者に伝えるべく、本書の発刊に至った。本記事では、大森健史氏の著書『進化するシン富裕層』(日刊現代)より一部を抜粋・再編集して、「シン富裕層」をはじめ富裕層全般に共通する「決断の早さ」の理由について迫ります。(※親が裕福だったわけではなく元々は「ごく普通の人」でありながら、インターネットやスマートフォンの普及を背景とした起業、暗号資産、動画配信、情報ビジネスなどを通じて、わずか数年で一代にして巨万の富を築いた新しいタイプの富裕層)
5,000万円の海外物件をその場で「買います」と即答する人の思考法。迷わず即決して資産を増やす成功者の「決断力」の正体とは

リアルな経験ができないと、ますます貧乏になる?

 

経験は貴重です。しかし今の時代、スマホで何でもできるようになってきたことで、リアルな経験を積む若い人が減ってきているとも感じています。例えば、旅行もスマホでGoogleマップを見て、行った気になっている人がいるという話を聞いたことがあります。音楽のライブやコンサート、スポーツ観戦などに行く人たちも、コロナ禍がきっかけでしょうが、減少傾向にあるといいます。

 

リアルな経験をするより、バーチャルな体験の方が金銭的にも時間的にも体力的にも負担が少なくていい、という考え方も、広がりつつあるようです。

 

ホリエモン(堀江貴文さん)がYouTubeで、「近い将来、映画『マトリックス』の世界が現実になるのでは」と話していたことが話題になったことがありました。『マトリックス』とは、1999年に公開されたハリウッドのSFアクション映画です。現実の人間社会がコンピュータの反乱によって崩壊した近未来において、人間の大部分はコンピュータの動力源としてカプセルの中で培養され、楽しい夢を見ながら過ごしているというものです。

 

AIが進化していく中で、ありとあらゆる仕事がAIに取って代わられたら、人間はカプセルの中でいい夢を見て、苦労をせずに幸せな生活をバーチャル体験するだけの存在になるのでは、という内容でした。あくまでSF的仮説ですが、VR(バーチャルリアリティ)などの技術がどんどん進化し、廉価になって普及しつつある今、あり得ない話ではありません。

 

最近はスマホゲームなどに取って代わられたため下火になりつつありますが、一時期、ネットゲームにはまって社会からドロップアウトする人を指す「ネトゲ廃人」という言葉が話題になりました。彼らは現実の社会よりも、バーチャルなネットゲーム内でのコミュニティややりがいの方が大切になり、のめり込んでしまって「現実に戻りたくない、ゲームの中から抜け出したくない」と感じてしまった人たちです。

 

そう考えると、マトリックス的な世界は、本当に現実のものになるかもしれません。「お金がないからバーチャルでいい」という傾向が強まり、バーチャル世界が充実したものに進化していった近未来には、心の貧乏はリアルな経験ができずバーチャルな経験ばかりをする、富裕層はそんな彼らを搾取する、ということにもなりかねない気がします。

 

 

大森 健史

株式会社アエルワールド

代表取締役