富裕層向け投資家ビザに特化して100億円以上の申請業務に携わる中で、20年、2万人以上の成功者の歩みを詳細に知る機会を得た著者の大森健史氏は、そこから見えた「シン富裕層(※)」の共通点を、閉塞感を抱く日本人、とりわけ若者に伝えるべく、本書の発刊に至った。本記事では、大森健史氏の著書『進化するシン富裕層』(日刊現代)より一部を抜粋・再編集して、「シン富裕層」をはじめ富裕層全般に共通する「決断の早さ」の理由について迫ります。(※親が裕福だったわけではなく元々は「ごく普通の人」でありながら、インターネットやスマートフォンの普及を背景とした起業、暗号資産、動画配信、情報ビジネスなどを通じて、わずか数年で一代にして巨万の富を築いた新しいタイプの富裕層)
5,000万円の海外物件をその場で「買います」と即答する人の思考法。迷わず即決して資産を増やす成功者の「決断力」の正体とは

決断力のある人が成功に近づくワケ

経験を積むと、人は決断が早くなります。決断が早くなると、より多くの経験を積むことができます。この好循環で、決断が早い人は、どんどん強くなっていくことができます。

 

私が見てきたシン富裕層の人々、特に「ビジネスオーナー型」「ネット情報ビジネス型」の人々は、基本的に各自の「動物的勘」、直感を信じて、素早く決断をします。「失敗したらどうしよう」などと躊躇せずに、パッと決める人がほとんどでした。

 

彼らの「直感」は、失敗や損失などのリスクを前にして、自分一人の責任のもとに決断をしてきた数々の経験によって磨かれています。経験値が多いことで「もし最悪の場合でも、恐らくこの程度の損で収まるだろう」といった未来予測の精度が高いため、素早く決断ができるのです。

 

経験がないと、「これをやったら、もしかして大損をしてしまうかも」などと、見えない恐怖に飲まれてしまいます。「日本はもうダメだ」といった悲観論を語る、いい大学を出た賢い「有識者」と呼ばれる人たちが日本にはたくさんいます。彼らはバブル崩壊後、デフレや就職氷河期、経済が低成長だった頃の、いわゆる「失われた30年」などと言われる暗い時代を経験し、経済的な成功体験をあまり積むことができなかったことで、「今さら挑戦したところで、うまくいくとは思えない」と考えてしまっているのです。

 

そういう人たちが「身の丈」という言葉を使って、住む場所、キャリア、稼ぎ方などを全部規定してしまったのではないかと感じます。一方で中国の富裕層は、中国がバブルに突入していた頃、世界も同時にバブルであり、国内外で儲かったお金をさらに投資に回して、どんどん儲かっていきました。

 

今でこそ中国の地方政府が絡んだシャドーバンキングが資金調達に利用した高利回りの理財商品の多くが破綻していますが、2010年代は素晴らしい実績を出していたのです。そうした成功体験が、中国人の挑戦し続ける投資マインドを醸成したと思います。

 

ここ数年、日本の不動産を買い漁る中国人投資家の話題をよく聞くと思います。彼らはまさに、即決即断で投資をします。億ションと呼ばれる物件でも、気に入ればその場で決めます。私の会社のお客様にも中国系の方が多くいらっしゃいますが、話を聞いた後はほぼ即決の方がほとんどです。

 

以前、中国出身のお客様の海外移住の相談を受けたことがありました。その人は1990年代に上海や北京にマンションを5つ、それぞれ日本円で800万円ほどで購入し、それが今では一つ3億円近くに値上がりして、全部合わせると15億円近い資産を持つようになっていました。

 

ある時、彼に「ギリシャで5,000万円くらいの物件を買えば、ゴールデンビザという永住権に似たような居住権が申請できます」と伝えると、即決で「買います」と言ってきたのです。

 

彼は1990年代に他の中国人に先んじて「いい物件」を買ったことで資産家になれた、という成功体験を持っています。あるいは、「いい物件」を買うかどうか迷っているうちに、他の人に買われてしまった失敗体験を持っているのかもしれません。そうした経験を積んできたことが、即決につながっているのだと私は思います。