「シン富裕層」ならではのお金の使い道と悩み
「ビジネスオーナー型」「ネット情報ビジネス型」のシン富裕層は、人付き合いや、体験などのいわゆる「コト消費」にはお金を惜しみません。無駄な会合には行きませんが、気のおけない友人と会うこと、家族と旅行に行ったり食事をしたりすることに、お金や時間をケチらないのです。
一方で、詳しい人に教えてもらってたまたま大金を手にした「暗号資産ドリーム型」、親の資産を受け継いだだけの「相続型」のシン富裕層たちの中には、お金をケチるあまり無気力になったり、物欲すらもなくなったりしてしまった人も見かけます。
「相続型」の富裕層で、80代のお母様と60歳のお嬢様という親子が、海外ビザ取得の相談に来られたことがあります。相続したお金を使い過ぎないよう、普段から親子でつつましく暮らしているのでしょう。
私が「お嬢様」と呼んでいた60歳女性は、服装にも気を使わないし、化粧っけもなく、髪型も彼女が若い頃に流行ったのだろう「ワンレンロング」スタイルでした。また80代の母親と50代の息子の親子もいて、お二人とも少々時代遅れのファッションで、30億円近い資産があるのに何かを買いたいという気持ちが起きないご様子でした。
あんなにお金があるのに、なぜ上手に使わないんだろうと考えていたところ、あるビジネスオーナーから聞いた話で、ようやく腑に落ちました。
パートナーの存在がモチベーションの源泉に
彼はタイやシンガポール、マレーシアなどに住みながら、かつて自分が起業した企業から配当をもらって生活をしている、ビジネスオーナー型のシン富裕層だったのです。年収は3,000万~4,000万円で、属地主義である国が多い東南アジアの国々では収入を持ち込むタイミングを翌年度にずらすなどをすれば、無税か15%程度の低課税とのこと。資産は10億円弱持っています。
彼は離婚をしているのですが、「奥さんや子ども、あるいは彼女なんかがいないと、お金を使う先がないんだよね」としみじみと話していたのです。
「『男友だち』とでは、飲みに行くかとかキャバクラに行こうかなんて話にはなるけど、さすがにおじさん二人で、海外旅行に行こうなんてならないよね。でも奥さんがいた頃は、次はハワイに行こう、ハワイでは何を買いたい、どこでご飯を食べたいとか、その前に水着を買いに行かなきゃとか、もっといい家に住みたい、便利な場所に引っ越したいとか、いろんなリクエストをどんどん言われていた。そのときは煩わしかったけど、今思えばいろんなお金の使い道を言ってくれて、だからこそこっちは『もっと頑張って働こう』というモチベーションが生まれていたんだよね」と言うのです。
異性パートナーにはお金がかかる、コスパが悪いなどと愚痴る男性は世の中に多いですが、シン富裕層の彼が言うには、「パートナーがいるからこそ、支出が増えるけれどその分収入を増やそうというモチベーションが上がる」というわけです。「だからそろそろ、僕も彼女を作らなきゃな」と話していました。
そのシン富裕層の彼は、「モチベーションを自分で上げることは、すごく難しい」とも話されていました。自分へのご褒美として、年に一度ポルシェなどのスポーツカーを買っていますが、それも次第に飽きてくるそうです。
しかしパートナーや子どもがいることによって、彼らのリクエストに応えなければいけなくなる。応えないと文句を言われるから、なんとか叶えなきゃと、仕事を頑張るモチベーションを高めてくれるというわけです。
また「パートナーができると、体を鍛えたくなるものだよ」とも言っていました。ジムで走ったり筋トレをしたりと、パートナーがいる時期は健康的な生活を送るようになるそうです。異性への興味関心をまったく失うと、自堕落になってしまうと話します。
パートナーや子どもは、お金という観点では一見コスパが悪く見えますが、お金を使っても得られないモチベーションを生んでくれるものだということです。