手塩にかけて育てた我が子から、ある日突然、法的な絶縁を突きつけられる――。 「まさか自分の家庭で」と信じられない事態が現実に起こっています。「あなたのため」を思って注いだ愛情や多額の教育費が、いつしか子どもを追い詰め、決定的な亀裂を生んでしまうことも。ある親子のケースをみていきます。
42歳息子から「二度と連絡しないで」と内容証明…近所に「息子は海外」と嘘をつく72歳母、絶縁にされた「衝撃の理由」 (※写真はイメージです/PIXTA)

親の「愛」が子の「トラウマ」になるパラドックス

子どもの人生を支配し、子どもに害悪を及ぼす親である「毒親」。もはや一般化したといってもいいでしょうか。

 

2022年、合同会社serendipityが25歳以上60歳未満の父母全国3,000人を対象に行った調査では、子どもを支配しようとする行動を並べ、「現在または過去に、自分の子どもに対してしたことがある言動で、思い当たることはあるか」と質問しました。 その結果、全体で25.9%の親(父親21.6%、母親30.1%)が「言うことを聞かせようと命令や指示をする」を選択。「過保護だと思う(何でも自分でやってしまう)」(全体22.8%、父親15.7%、母親29.9%)、「子どものすることや交友関係、仕事などを把握・管理していたい」(全体10.7%、父親6.3%、母親15.2%)と続き、親の4分の1が、「自分は毒親(だった)」と認識しています。無意識の人もいるので、実際に毒親と呼ばれる人はさらに多いかもしれません。

 

また親は「いい学校に入ってもらいたい」「いい会社に就職してほしい」などと、教育にお金をかけた分の見返りを求めがちです。さらにその先には「いい人と結婚してほしい」と、子育て終了後の子どもの人生にも見返りを求めるケースも珍しくありません。教育熱心な家庭で陥りやすい、心理学でいう「サンクコスト(埋没費用)」への執着にも似た心理といえるでしょう。

 

そして親が70代、子が40代になっても続く、認識の相違。子どものトラウマに対し、親が「そんな覚えはない」「お前の勘違いだ」と事実を否認することは、心理的な「二次加害」といえるでしょう。親にとっては些細な日常のひとコマでも、受け止める子どもにとっては、自己の存在を否定された記憶として刻まれているのです。

 

子どもから内容証明なんて、極端な――。そう思うかもしれませんが、多くの人にとって「明日は我が身」かもしれません。

 

[参考資料]

合同会社serendipity『【調査】もしかして、私って「毒親」!? 母親の35.3%が「毒親」なのかもと回答! 9万人を救った親子関係心理学の専門家が教える!「毒親を卒業する方法」とは』