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帰省したくてもできない…物価高が直撃する家族のリアル
株式会社JTBがまとめた、年末年始(12月20日~1月5日)に1泊以上の旅行に出かける人の旅行動向によると、年末年始の総旅行人数は3,987万人(国内旅行は3,886万人)、そのうち21.1%が旅行の目的を「帰省」と回答しました。単純計算で、2025年~2026年、800万人以上の人が1泊以上の帰省をする予定です。
また平均費用は4万4,000円。やはり東京~北海道を大人5人で往復する田中家の場合、交通費だけで高くついてしまうようです。
特に、子どもが中高生になり大人料金がかかるようになる40代~50代の子育て世帯にとって、地方への帰省は家計を揺るがす一大イベントです。総務省統計局『消費者物価指数』を見ても、宿泊料や航空運賃の上昇率は全体平均を上回る推移を見せています。
一方で厚生労働省『毎月勤労統計調査』の最新調査(2025年10月速報)をみてみても、私たちの給与の伸び悩みは深刻です。現金給与総額(規模5人以上)で30万141円と、46ヵ月連続プラス。規模30人以上に絞ると33万7,879円と、56ヵ月連続プラス。給与は確実に増えています。
しかし物価上昇分を超えることができず、実質賃金指数は10ヵ月連続マイナス。昨今は賞与のタイミングだけ前年を上回り、連続マイナス記録は途絶える傾向にありますが、それを除くと実質給与減がもう何年も続いていることになります。
かつて帰省は骨休めでしたが、今や家計へのダメージとして深刻化しています。「親には会いたいが、金がない」――そんなジレンマを抱え、静かに帰省を諦める、あるいは田中さんのように無理をして帰る「帰省貧乏」に陥る。久しぶりの再会を喜ぶ笑顔の裏で、家計簿の収支に青ざめる現実が広がっています。
[参考資料]
株式会社JTB『年末年始(2025年12月20日~2026年1月5日)の旅行動向』
総務省統計局『消費者物価指数』
厚生労働省『毎月勤労統計調査』