その日暮らしの生き方は、人生100年時代において老後破産に直結しかねません。特に国民年金のみの自営業者の場合、蓄えがなければ月数万円程度の極貧生活が待っています。貯金が尽き、裕福な家族とも疎遠な場合、最後の砦である生活保護は認められるのでしょうか。実は申請の現場では、家族の資産以上に、70代の高齢者ですら突きつけられる「意外な壁」が存在します。FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が、土屋さん(仮名)の事例を紹介します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
「宵越しの金は持たない」年金月5万円・貯金ゼロ。でも別居家族はお金持ちの73歳おひとり様、“生活保護申請”してみると…役所による〈意外な判断〉【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

老後破産を防ぐために

かつての日本では、金融教育の機会が少なく、高度経済成長期の「なんとかなる」という感覚のまま老後を迎えてしまう人が少なくありませんでした。しかし、お金の価値はインフレーション(物価上昇)によって目減りしていきます。

 

2019年に話題となった「老後2,000万円問題」ですが、現在の物価上昇ペースを考慮すれば、将来的に2,000万円では不足する可能性も十分にあります。「年金をもらえれば生活できる」という甘い見通しを疑い、若いころからキャッシュフロー表を作成し、将来の収支を可視化しておくことが重要です。

 

〈参考〉

厚生労働省:「令和7年度被保護者調査」(令和7年8月概数)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450312&tstat=000001229625&cycle=1&year=20251&month=23070908&tclass1=000001229626&tclass2=000001229628&result_back=1&tclass3val=0


厚生労働省年金局:「令和5年度 厚生年金保険・国民年金保険事業の概況」
https://www.mhlw.go.jp/content/001359541.pdf

 

 

吉野 裕一

FP事務所MoneySmith

代表