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8割が「進路・結婚」で自己犠牲…調査で見えた「きょうだい児」が抱える過酷な現実
障害のある兄弟姉妹を持つ「きょうだい児」の多くが、幼少期から「ヤングケアラー」としての役割を期待され、大人になってからも進学や結婚、就職といった人生の重大な局面で、自身の希望を犠牲にしている実態があります。
医療法人社団ミネルバが実施した調査によると、きょうだい児として育った人の8割以上が「進学や就職の選択に家庭環境が影響した」と回答しています。具体的には「家を離れられなかった」「経済的な事情で夢を諦めた」といった声が多く上がっています。
また、美咲さんのように結婚・恋愛でつまずくケースも深刻です。同調査では、30代~40代のきょうだい児が抱える悩みとして、「相手家族の反応」や「相手への伝えづらさ」が上位を占めました。パートナー自身は理解があっても、その親族からの反対に遭い、破談となるケースは後を絶ちません。
調査では、きょうだい児が成長過程で「責任感」や「忍耐力」といった強みを獲得している側面も明らかになりましたが、それは裏を返せば、過酷な環境に耐えざるを得なかった結果とも言えます。
美咲さんの決断は「実家を出る=家族を捨てる」と見えるかもしれません。しかし、社会的な支援が不十分ななかで、家族だけでケアを完結させようとすれば、誰かが犠牲にならざるを得ないのが現実です。きょうだい児の自己犠牲を正当化するのではなく、経済的支援やケア体制の拡充が急がれます。
[参考資料]
医療法人社団ミネルバ(ミネルバクリニック)『【きょうだい児618名調査】8割以上が“家庭を優先した選択”と回答―経済的負担など支援不足が進学・結婚にも影響』