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増加する「同居20年以上」の離婚と、不動産処分の現実
現在、佐藤さんは家賃8万円のワンルームマンションに1人暮らしをしていますが、司法統計によると、2022年(令和4年)の婚姻関係事件数における申立人の動機のうち、同居期間が20年以上の夫婦の割合は増加傾向にあります。長年連れ添った末の離婚、いわゆる「熟年離婚」において、最も大きな争点となるのが自宅の扱いです。
離婚時の財産分与では、夫婦が協力して築いた財産を2分の1ずつ分けるのが原則です。しかし、資産の多くを不動産が占めている場合、きれいに分けることが難しくなります。どちらか一方が住み続けるには、相手方に持ち分相当の現金を支払う「代償分割」が一般的ですが、退職金を充当しても足りないケースが多々あります。
国土交通省『不動産価格指数』を見ると、マンション価格が高騰する一方で、戸建住宅や地方の不動産価格は地域によって下落や横ばいの傾向が見られます。佐藤さんのように「売りたくても希望額で売れない」、あるいは「売却を急ぐあまり安く買い叩かれる」というリスクは常につきまといます。
いざという時に流動性の低い不動産がリスクになり得ることを理解し、早めに資産の棚卸しをしておくことが重要です。それ以前に、良好な夫婦関係の構築が大切であることは言うまでもありません。
[参考資料]
裁判所『司法統計』
国土交通省『不動産価格指数』