(※画像はイメージです/PIXTA)

オーナー経営者にとって、「自社株をどう承継するか」は常に大きな課題です。資産承継対策といえば、自社株の贈与や生命保険の活用に重点が置かれているものが多いですが、資産の多くが自社株に偏っている場合、承継や分散の難しさから相続トラブルに発展するケースも少なくありません。こうしたなか、近年注目を集めるのが「不動産小口化商品」です。少額から投資でき、複数の物件に分散可能で、さらに小口単位で相続・分割ができる点が、オーナー経営者の資産承継ニーズにマッチしています。本記事では、従来の自社株対策と比較しつつ、不動産小口化商品を承継戦略に取り入れるメリットについてみていきましょう。

自社株対策のリスクをカバーする「不動産小口化商品」

不動産小口化商品は、下記のようなメリットがあります。

 

1.少額から複数物件に投資可能

不動産小口化商品は、従来の現物不動産投資とは異なり、1口あたり数百万円から投資できます。また、都心オフィス、商業施設、レジデンス、ホテル、物流施設など、投資可能な物件も多種多様です。

 

2.プロが運用・管理

専門事業者が不動産の選定・管理・運営を行うため、オーナーが自ら不動産管理を担う必要はありません。

 

3.定期的な分配金

賃料収入や運用益から、定期的に分配金を受け取ることができます。これは「事業収益以外の安定収入」としても機能します。

 

4.相続時に小口単位で分割可能

現物不動産と違い、1口単位で分割できるため、相続時の分配や調整が容易です。これは「遺産分割のしやすさ」という観点で非常に大きなメリットといえます。

「小口化商品」を活用した資産承継戦略

「不動産小口化商品」の活用は、オーナー経営者にとって資産承継の有効な手段となりえます。具体的には、下記の3つが挙げられます。

 

1.自社株以外の資産として分散投資

不動産小口化商品を組み込むことで、資産全体を「自社株一辺倒」から「自社株+不動産+現金・株式」という形に分散できます。これにより、リスクを抑えながら資産全体のバランスを取ることが可能になります。

 

2.相続税負担の軽減

不動産小口化商品は、現物不動産と同様に相続税評価額が時価よりも圧縮されるケースがあります。さらに小口単位で分割できるため、複数の相続人に公平に割り当てることができ、結果的に「納税原資の確保」「承継トラブルの回避」につながります。

 

3.家族間での公平な資産配分

自社株は後継者がまとめて引き継ぐべき資産である一方、他の相続人には別の資産を分配する必要があります。不動産小口化商品であれば、分割の柔軟性が高いため、家族間での不公平感を和らげる役割を果たします。

 

小口化商品のメリットとデメリットを比較すると、下記のとおりです。

 

出所:筆者作成
[図表]小口化商品のメリット・デメリット 出所:筆者作成

 

「分散」がカギ…「小口化商品」の活用で、スマートな資産承継を

オーナー経営者にとって、自社株の承継対策は避けて通れないテーマです。しかし、資産の大部分を自社株に依存する状況は、相続税・資産分散・家族間調整の面で大きなリスクを伴います。

 

不動産小口化商品は、少額から投資できる利便性、分配金による収益性、そして小口単位で分割できる柔軟性を備えています。これにより、自社株以外の承継資産を準備でき、相続や事業承継の円滑化に寄与します。

 

もっとも、換金性の低さや運営を自分でコントロールできないといったデメリットもあるため、生命保険や現金資産、自社株承継対策と組み合わせて「総合的な承継戦略」として活用することが重要です。

 

従来の「自社株+生命保険」だけに依存せず、分散型の資産形成・承継を組み込むことこそが、これからのオーナー経営者に求められる戦略といえるでしょう。

 

 

貝井 英則

シェル総合会計事務所代表/公認会計士/税理士/社会保険労務士/証券アナリスト/宅建士

 

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