2023年、ドイツのGDPが日本を追い抜きました。そのニュースの裏には、生産性に対する両国の根本的な「労働観」の違いが存在します。日本では「休まず頑張る」ことが時に美徳とされますが、ドイツでは「部下を働かせすぎる」ことは“犯罪”に等しい行為です。上司が自腹で「罰金530万円」を課され、出世の道が絶たれるほどの厳格なペナルティが存在するドイツ。彼らがそこまでして「効率」と「休息」を重視する理由とは? 本記事では、サンドラ・ヘフェリン氏の著書『有休取得率100%なのに平均年収が日本の1.7倍! ドイツ人の戦略的休み方』(大和出版)より、ドイツ人の合理的な働き方の実態に迫ります。
日本のGDPを抜いた「ドイツ」…部下を働かせすぎると“極悪人”扱い。上司が自腹で「罰金530万円」、出世の道も絶たれる厳格なペナルティ

他人が休むと許せない日本人

日本の場合、「休暇」というのは「必ずしも取らなくてはいけないもの」だとはされていないため、そこに「選択の余地」が生まれ、結果的に「休まず仕事を頑張る人」が出てきます。ところが「休まず仕事を頑張る人」というのは、自分の気がつかないうちに、体力も精神も疲弊しています。そうすると、余裕がなくなります。そういった中で「他人が休んでいると許せない」という心境になっても不思議ではありません。

 

ですが、「あの人はラクして稼いでる」「あの人は休んでいるのに優遇されている」という考え方の癖をやめ、「自分がしっかり休む」ことに集中したいものです。「〇〇さんがラクしている」「〇〇さんは休んでばかり」……などと悪口を言うこととは無縁でありたい。それよりも「自分もみんなもラクして働くにはどうしたらいいか」を考えるようにしたいものです。

 

郊外だからリモートワーク、子供がいるからリモートワーク、好きだからリモートワーク。リモートワークひとつにしても、みんなそれぞれの事情があります。各事情に合った働き方ができること。それが結果的に全員がハッピーになる近道です。

お昼休みが「30分」の理由

さて、リサさん(※)のお昼休みは30分。

 

※リサさん(Lisa さん、40代、女性、家族と同居)、ドイツ在住。チームリーダーとしてフルタイムで勤務。

 

日本人には短いように思えますが、実はドイツの会社では「お昼休みを30分」にしているところは少なくありません。お昼休みにゆっくり休むことよりも、早く仕事を切り上げて、家に帰って休みたい──多くのドイツ人はこう考えているのです。

 

フランスやイタリアなどはドイツよりもグルメで、「ゆっくりと食事を楽しむ」ことを大事にする文化圏ですが、ドイツ人は平均して「食というものに、それほどこだわらない人たち」です。したがって、お昼休みは30分でじゅうぶんだと考える人は少なくありません。人によってはサンドイッチを頬張り、すぐに仕事に戻ります。

 

実践できること:ランチを軽く、夕食はゆっくりと

たまには残業せず、早めに帰宅する日があってもいいはずです。そのために、ランチ時間の規定がないならば、ランチを軽くすませ、夕食をゆっくりとるのはいかがでしょうか?