(※写真はイメージです/PIXTA)
この給付金、私は対象外では?
「夫が亡くなってからは、仕事仲間との会話が何よりの支えでした。でも、さすがに70歳を目前にして、立ち仕事がだんだん厳しくなってきましてね」
高橋恵子さん(70歳・仮名)。4年前に夫の正行さん(享年66歳・仮名)を亡くし、以来、郊外の自宅で一人暮らしをしています。
パートを辞めた恵子さんの現在の収入は公的年金のみ。正行さんの死後に受給が始まった遺族厚生年金が月額約6万円、自身の老齢基礎年金と月額7万円と合わせると、月13万円の年金を受け取っていました。
近所のスーパーでパートを始めたのは、夫が亡くなる前から。 「週に3日ほどでしたが、月10万円ほどの収入になっていました。夫の年金もありましたし、『健康のため』と思って始めました」というのが、専業主婦だった恵子さんが働きだした理由です。
しかし、正行さんが亡くなり、さらに恵子さん自身も体力の衰えを感じて70歳になる直前で退職することにしました。月10万円のパート収入がなくなったことで、日々の生活に不安を覚えるようになったといいます。
「夫が亡くなったあと、年金とパート代で、月23万円くらいになっていたかしら。それが月13万円でしょ。老後を見据えてコツコツと貯蓄してきたけど、あくまでもこれは、手を付けない安心材料だと思っていたのよ。でも最近の値上げがすごくて。今後、これだけでやっていけるのか……そんなことばかり考えていました」
そう不安を募らせるなか、日本年金機構から一通の薄緑色の封筒が届きました。なかに入っていたのは「年金生活者支援給付金」の請求手続きのお知らせです。
「給付金の名前は知っていました。給付を受けている友人もいますし。でも自分に届くとは思ってもみませんでした」と恵子さんは振り返ります。無理もありません。数年前、正行さんの遺族年金の手続きで年金事務所を訪れた際、「パート収入があるので、給付金は対象外ですね」と窓口で説明された記憶があったからです。
「あの時は『ふーん、そうなんだ』くらいにしか思いませんでしたが……本当に私、もらっていいのかしら」