年齢を重ね「太りやすくなった」と感じる理由の1つに「代謝の低下」があります。消費されるエネルギー量が減少すると、余ったエネルギーとして肝臓にも脂肪が貯蓄されてしまうそうです。では、この代謝の低下を改善して“効率よくやせる”にはどうすればいいのでしょうか。尾形哲氏の著書『専門医が教える 1分で肝臓から脂肪が落ちる食べ方決定版』(KADOKAWA)から紹介します。
「食べる量は変わっていないのに太りやすくなった」は代謝低下のサインかも…代謝を改善して“効率よくやせる”ために欠かせないポイント【医師が解説】
血流がよくなれば代謝が上がってやせる
40歳を過ぎるころから「食べる量は変わっていないのに太りやすくなった」という人が増えます。これは、代謝が低下しているサイン。特に、じっとしてもエネルギーが消費される「基礎代謝」が低下すると、使われないエネルギーが増え、肝臓の脂肪も増加します。
肝臓は糖質、脂質、タンパク質の代謝を司る臓器で、基礎代謝量の高さもピカイチです。その肝臓に脂肪が増えて肝機能が低下すると、基礎代謝量の低下にも拍車がかかります。
肝臓を元気にするために血流をよくする
つまり、効率よくやせるには基礎代謝を上げて、肝臓を元気にすることが欠かせないのです。そこで重要なのが“血流をよくする”ことです。
血液は心臓から全身へと巡り、再び心臓へ戻って循環しています。血液がスムーズに流れる“血流がよい状態”なら、酸素や栄養素が細胞のすみずみに届けられ、同時に不要な脂肪や老廃物を回収して、最終的に体外に排出されます。しかし、血流が悪いと脂肪や老廃物を回収できず、体にたまったままに。
肝臓は毎分1Lという大量の血液が流れ込む、血流との関係が深い臓器です。流入する血液の80%が胃、小腸、大腸、すい臓、脾臓、胆のうなどから流れ出る静脈が集まる「門脈」からのものです。
この血液から必要な栄養を全身の器官や臓器で利用しやすい形に分解・合成して作り替え(=代謝)、体に有害な物質を無毒化する(=解毒)のが、肝臓の重要な働きです。
血流が悪いと代謝しきれない栄養が中性脂肪となって蓄積されるうえに体に毒素が増えてしまいます。
血流を促すには、水分を補給して血液の量を増やすこと。また、朝食を食べて体温を上げると血行がよくなります。
食事中は、よく噛むことでも血流量が増えることがわかっています。
高血糖を防ぐと肝臓の血管も元気になる
肝臓に血液を巡らせるには、“良質な血液”と“健やかな血管”が必要です。しかし、これを邪魔するのが「高血糖」です。
血糖値が高いと血液の粘度が高くなって血流が悪くなるだけでなく、血管自体を傷つけます。傷ついた血管は修復されるものの、その修復がくり返されることで血管の内側は狭くなり、しなやかさも失われていくのです。
さらに、高血糖こそが脂肪肝の原因といって過言ではありません。高血糖が続くと、エネルギーとして消費しきれない糖が中性脂肪に変換され、肝臓にも脂肪が蓄積されます。肝臓に脂肪が増えると血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなることが知られていて、さらに肝臓に脂肪を増やす“負のスパイラル”に突入します。
糖質を控えて高血糖を避ければ、肝臓の働きは守られます。肝臓が元気ならインスリンもしっかり効くので、血液も血管も守られます。血流がよければ太りにくい体になるのです。
