40代・50代にとっての定年後は「余暇」「悠々自適」といったイメージが根強いようです。しかし、「これまで頑張ってきたのだから、定年後はのんびりしよう」などと考えていると、思わぬ落とし穴にはまることも。本記事では、丸山法子氏の著書『定年を意識したら読む本 定年のトリセツ』(ごきげんビジネス出版)より、定年後に「ゆっくりしたい」と考える人が陥りがちな5つのパターンを通して、老後の現実をみていきます。
定年後、退職金を手に「まずは豪華旅行だ」と胸を弾ませる50代…「自分にご褒美」の恐ろしい代償。ブレーキが壊れた老後の転落
「定年後はのんびりしたい」はなぜいけないのか
「で、定年後どうする予定ですか」
定年が見えてきた40代・50代の本音の話をリサーチしてみました。社員研修で毎年数百人に出会うので、その都度問いかけます。統計までは取っていませんので、あくまで肌感覚です。大半はこう答えます。
・とにかくゆっくりしたい。これだけ働いてきたんだから自分にご褒美。
・しばらくのんびりして、それから考える。ひとまず、ゆっくりさせてー。
・体力に自信がなくてね。ボチボチでいいかな。もう働きたくない。
・旅行したかったけれど長期休暇が取れない職場だったので、船で世界一周へ。
・田舎に移住。ポツンと一軒家を買って、農業をして憧れの自給自足をしたい。
・実は夫の定年とともに離婚。ですね。あ、これ、内緒ですよ。
そして1〜2割の人は、こうです。「働きますよ」。その理由は、
1.生活給のため(年金が少ない。年金の補填)
2.仕事が好きだから(「自称マグロ」止まると死ぬ回遊魚だと自虐する人も)
3.働いていたほうが楽だから(お金以外に働くことで得られることがある)
4.家族が(とくに妻が、家にいてもらうと困るので)働いてと望むから
など。ほかには、親の介護があるから介護に専念する人もいて、しかも「どうせ介護するのなら、介護の仕事に就くと介護技術を覚えられるので一石二鳥」という合理的な発想の人もいます。
会社から続けて働いてほしいと再雇用を打診されたり、知り合いの会社からオファーがあったり、人材紹介会社経由のうれしい話があったりなど、表向きは嫌々働き続けるポーズを取っていても、結局は「仕事が好き」。求めてくれる職場があって好きを続けられるのは、大変ではあってもうれしいことですよね。
結論をいうと、「定年のブランクをつくらず、速攻で仕事をしましょう」です。だから、のんびりとか、ゆっくりとか、病気療養や家族の事情がある以外はおすすめできません。
その理由を5つのパターンで説明します。