実は“働きたい”?…「働かないおじさん」の実際

「働かないおじさん」っていわれてもね。私だって働きたいんだけどね――

働かない社員は中高年世代に限らず、若手にも一定数いますよね。世代に限ったことではありません。とはいえ「働かないおじさん」とピンポイントで指摘するのですから、たしかに中高年世代の男性・女性を思い浮かべてしまうよね、ということになります。

働かない社員とは、その昔「窓際族」といわれ揶揄されたイメージがありました。仕事をしないで、たばこ吸ったり、新聞読んだり、遅刻早退したり。同世代の出世した社員が残業しているのを横目で見ながら「お先に〜」なんて、無責任さを全面に出しながら定時で帰る。

中途半端な仕事をしてはほかの社員が尻拭いしたり、ズル休みはもちろん、直行直帰します!とがんばっているようで、映画やカラオケ、打ちっぱなしに行っていたり。当然そういう嘘がばれ、厄介な邪魔者扱いされてきました。どこにでもいる、のらりくらり生きる社員のことをイメージします。

こんな経験がある中高年世代だから、働かない年配社員といわれてうれしい人はいないでしょう。このごろは「Windows2000」といわれたりするようです。窓際でのんびり仕事したふりして、年収2千万円を手にする人だとか。うらやましいって。とはいえ、どう見ても「厄介者」という扱いです。

ところが、実際どうでしょう。

・そもそもカタカナ言葉がわからない

・パソコンやタブレットの使い方がどうしても頭に入らない

・使い方を聞いてもやっぱりわからない

・会議で意見をしたら「古くさい」と一蹴される

・経験を語ると「時代が変わったんだよ」と言われる

・なんとかアイデアを出したら「そんなにがんばらなくても」と慰められる

・なんでも「若い人のために」と言われてないがしろにされる

・長のポジションを譲りたいけれど収入が下がるのは困る

・年下の上司のリスペクトのない態度に無性にムカつく

・句読点のLINEは圧が強いと、外されたライングループでディスられる

・励ましたらハラスメント、褒めたらルッキズム

・あのころはよかったなと戦友のような同世代同士で慰め合う

……という現実に、息もしないでひたすら黙る。早く定年こないかなと心待ちにしつつ。