「自分は高収入だから年金も多いはず」と考えるのは早計かもしれません。年金受取額には「上限」が存在します。どれだけ月収が高くても、一定額以上は年金額に反映されない仕組みなのです。多くの人が見落としがちな年金の仕組みについてみていきましょう。
サラリーマンの上位1%だったが…〈月収100万円〉50歳男性、〈ねんきん定期便〉の年金見込み額に「うそだろ…」と唖然 (※写真はイメージです/PIXTA)

月収100万円、サラリーマン上位1%の自負

大手企業で働く加藤誠さん(50歳・仮名)。管理職で、月収は額面で100万円、賞与も含めた年収は1,600万円ほどになるといいます。

 

厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマンの月収の中央値は32.9万円、上位25%で43.6万円、上位10%で57.9万円です。月収100万円を超えるのは、わずか1.23%。加藤さんは、まさしくサラリーマンの「上位1%」とも言える存在です。

 

これまで仕事一筋。20代、30代はがむしゃらに働き、40代前半で管理職に。50歳になった今、役職にも給与にも、それなりの自信がありました。家計は同い年の専業主婦の妻に任せていて、大学生と高校生の2人の子どもの教育費も、老後の資金も、「この収入があれば大丈夫だろう」と、どこか漠然と考えていたといいます。

 

ただ「現実は厳しいみたいです」と加藤さんはいいます。先日、50歳の誕生日を迎えた加藤さん。日本年金機構から送られてきた「ねんきん定期便」に愕然としたといいます。

 

毎年、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」は、それまでの加入実績に基づく年金額が記されていたので、「あまり参考にならない」と考えていたとか。ただ50歳以降は「見込み額」に変わると聞いていたので、どこかうきうきした気持ちでいたといいます。

 

「まあ、自分はいくらもらえるんだろうかと、軽い気持ちだったのですが、封を開けて唖然としました」

 

そこに記載されていた数字は月額20万円。それはあくまでも額面なので、実際に手にできるのは、85~90%程度といわれています。

 

「今、月収は100万円を超えています。上位1%だと言われたが、将来受け取れるだろう年金は月20万円なんて……老後、仕事を辞めたあと、どうやって生きていけばいいんだと、かなり焦りました。これだけ会社に尽くして、高い保険料もずっと払ってきたつもりなのに、この金額というのは……」