親からの援助で住宅ローン負担が軽かったり、孫の教育費を支援してもらえたり。恵まれた環境にいると、つい将来への備えを楽観視してしまいがちです。しかし、その甘えが許されるのは、親が元気なあいだだけかもしれません。本記事では社会保険労務士法人エニシアFP共同代表の三藤桂子氏が、Aさんの事例とともに、「恵まれた相続」に潜む落とし穴について解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。
実家が太いせいで…年収450万円・59歳サラリーマンが直面した〈ボーナスは固定資産税に〉〈退職金は相続税に〉消えるという現実【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「実家が太くて羨ましい」だけではない

Aさんのように、親が裕福で子は標準的な収入という場合、傍からみれば親からたくさんの援助を受けられて、羨ましい環境にもみえますが、相続を機に、思いもよらない負担となって重くのしかかる恐れがあります。

 

親の資産状況を正確に把握していなかったり、相続税の計算をしていなかったりすると、「こんなはずではなかった」という事態に陥りかねません。

 

生前に相続の話をするのは、親子であっても躊躇するかもしれません。しかし、いざというときに困らないためには、親の相続対策を待つのではなく、自らも主体となって、家族で事前に話し合いの場を持つことが非常に重要です。

 

親が元気なうちに資産状況や老後の考えを把握しておくことは、子世代にとって大きな安心に繋がります。それは結果的に親子の信頼関係を深め、親は助けを求めやすく、子はサポートしやすくなるという、双方にとってのメリットにもなるでしょう。

 

〈参考〉

国税庁:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

厚生労働省:令和6年版労働経済の分析
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/001299623.pdf

国税庁:No.4158 配偶者の税額の軽減
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm

 

 

 

三藤 桂子

社会保険労務士法人エニシアFP

共同代表