今や世界を動かす「かわいい」という感性。しかし文化的背景が近い日中韓でも、その反応は大きく異なるようです。ある調査で、日本は「眺めたい」、韓国は「所有したい」、中国は「共有したい」という決定的な差が明らかに。この感性の違いは、3.9兆円ともいわれる「推し活」市場の熱量の差にも直結していました。
本家の日本は「眺めるだけ」の謎…最新調査で判明した、日中韓「かわいいの感性」決定的違い (※写真はイメージです/PIXTA)

熱量の差? 「推し活」経験率と満足度

「かわいい」という感性は、今や日本文化を象徴するキーワードのひとつとして世界に浸透しています。しかし、その「かわいい」を、人々はどのように受け止め、どのような感情を抱いているのでしょうか。特に文化的背景が近いとされる東アジアの日本、中国、韓国においても、その受容のされ方には明確な違いがあるようです。

 

この「かわいい」は、単なる感情表現に留まらず、巨大な経済圏を形成しています。たとえば、日本の「かわいい」を代表するキャラクター、ハローキティが生み出した生涯価値は800億ドルに上るとの試算もあります。実際、サンリオの2024年度の業績は売上高45%増、営業利益92%増と、その勢いを裏付けています。「かわいい」は今や世界を動かす強力なソフトパワーであり、その消費行動の源泉を探ることはビジネス戦略においても重要性を増しています。

 

一方で、「かわいい」には微妙な文化的差異があることが、フリュー株式会社/フリューかわいい研究所が実施した『日本・中国・韓国の“かわいい”の捉え方に関する調査』(15~35歳の女性各100名、計300名対象)によって浮き彫りになりました。

 

調査によると、「“かわいい”と思ったものに対してどんな印象を抱くか」という質問(複数回答)では、3ヵ国共通で「幸福感を感じた」が2位に入りました。「かわいい」がポジティブな感情を喚起する点では共通認識があるようです。

 

しかし、その先の行動や感情には顕著な差が見られました。最も対照的なのが日本と韓国です。韓国では「抱きしめたい」(46.5%)、「触れたい」(34.7%)、「手に入れたい」(26.7%)といった、対象物への直接的な接触や所有を望む回答が上位を占めました。

 

一方、日本ではこれらの項目の順位・比率が低く、代わりに「眺めたい」(44.0%)が上位に入っています。調査結果によれば、日本の回答者は対象と一定の距離を保ち、視覚的に楽しむ傾向が強く、所有欲は比較的少ないと分析されています。

 

中国の傾向も独特です。日韓で1位となった「可愛がりたい」という回答が、日本では58.0%、韓国で56.9%だったのに対し、中国では23.3%と低い数値に留まりました。その代わり、「気分が晴れやかになった」「気分が高揚した」「誰かと気持ちを分かち合いたい」といった、自身の内面的な気分の高揚や、それを他者と共有したいという欲求を示す回答が目立ちました。

 

調査では、同じ「かわいい」という刺激に対しても、日本では「鑑賞・受容」、韓国では「接触・所有」、中国では「気分の高揚・共有」といった異なる反応の傾向があると指摘しています。