相続人が遺産相続の割合に納得できない場合、一定の基準として扱われるのが「法定相続割合」です。しかし、遺言書などで遺産の分割割合が指定されていた場合、相続人の合意よりも遺言書の割合が優先されます。では、本来もらえるはずだった遺産を相続できず、納得のいかない相続人はどうすればよいのでしょうか。とある親子の事例をもとに、山﨑裕佳子CFPが解説します。※個人の特定を避けるため、登場人物等の情報は一部変更しています。
(※写真はイメージです/PIXTA)
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夫を失った妻…義母からの「冷徹なひと言」に絶句
大前夫婦(仮名)は先日、結婚11年目を迎えたばかり。子どもはいません。
夫の直哉さん(仮名・41歳)は中堅メーカーに勤めており、妻・未希さん(仮名・40歳)は派遣社員です。昨年の世帯年収は950万円でした。
約4年前に、未希さんの希望を叶える形で、神奈川県相模原市に築浅の中古マンションを購入しました。住宅ローンもマンションも、直哉さんの単独名義です。
そんな直哉さんは一人っ子。5年前に父が亡くなり、今は母、千佐子さん(仮名・79歳)が静岡県の実家で一人暮らしをしています。
大前夫婦には子どもはいないものの、夫婦仲は良さそうでした。結婚10周年の記念日には、夫婦で有休をとって旅行へ行ったそうです。しかしある日、そんな2人に悲劇が襲いかかります。
とある週末のよく晴れた休日、夫の直哉さんが事故死してしまったのです。直哉さんの趣味はツーリングでした。その日も、趣味のバイクで出かけた先で単独事故を起こしてしまったのです。
未希さんはすぐに義母に連絡。千佐子さんは急ぎ指定の病院に向かったそうですが、直哉さんはすでに息を引き取っていました。悲しみに打ちひしがれるなか、通夜、葬儀が慌ただしく行われます。
そして事故から半年ほどたったある日の夜、未希さんのスマホに着信が。相手は義母の千佐子さんからでした。そういえば、四十九日の法要以来、連絡を取っていませんでした。
挨拶もそこそこに、千佐子さんはこう問いかけます。
「ところで未希さん、いつそのマンション出て行ってくれるの?」