年末年始は帰省の絶好のタイミングです。普段なかなか会えない実家の家族との再会を楽しみにしている人も多いでしょう。ただ、久々の帰省が楽しいだけのイベントで終わるとは限りません。山﨑裕佳子CFPが過去に受けた相談をもとに一部を改変し、成人した子と親の“避けては通れないイベント”の対策を解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
話がある…年末に帰省した39歳サラリーマン、実家で一人暮らしの68歳父が「認知症の初期段階」と知り絶句→父の〈まさかの対策〉に落ち込んだワケ【CFPの助言】
まさか…父から告げられた「想定外の報告」に絶句
佐々木一茂さん(仮名・39歳)はIT系の企業に勤務するサラリーマン。大学卒業までは実家のある埼玉県で暮らしていましたが、就職を機に都内で一人暮らしを続けています。結婚はしていません。
4年前に母が亡くなり、埼玉の実家には現在、父の隆さん(仮名・68歳)が一人で暮らしています。一茂さんは父のことが気がかりではあるものの、まだ60代と若く昔から病気一つしない元気な人だったので、仕事の忙しさにかまけて、ここ数年、実家に帰省するのは年末年始のみとなっていたそうです。
昨年の暮れのこと。一茂さんは仕事納めのあと実家へ直行、久しぶりに父と食卓を囲みます。
リラックスした雰囲気のなか、父がおもむろに「ある告白」を始めたのです。
「実はな、母さんが亡くなってから物忘れがひどくなって……思い切って半年前に病院を受診したんだよ。そしたらな、認知症の初期段階だって診断されたんだ」
「えっ……」
父の突然の告白に、思わず言葉を失う一茂さん。
「全然そんな風に見えないけど……」
そしてさらに、父の隆さんは話を続けます。
「これから症状が進むと、生活に支障が出ると思うんだよ。だから、いまのうちに成年後見人制度を利用しようと思う」
詳しく聞くと、手続きはすでに進めているとのこと。
「なんで、先に俺に相談してくれなかったんだよ」
責めるように一茂さんが問うと、父は「お前には負担をかけたくないからな。自分で判断できる今のうちに決めておきたかったんだ」と寂しく微笑んだのでした。