厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、2024年の離婚件数は約18万5,895件で、そのうち同居期間20年以上の夫婦による離婚は約4万件でした。離婚の理由は千差万別ですが、本気で熟年離婚したい場合、年齢に準じた注意点があるため事前準備が欠かせません。定年前に離婚を決意した夫婦の事例から、熟年離婚の注意点をみていきましょう。
(※写真はイメージです/PIXTA)
あけましておめでとう、離婚してください…年収1,500万円・定年直前の59歳エリートサラリーマン、元日の朝に呆然。54歳パート妻が「正月離婚」を切り出したワケ【CFPの助言】
元旦の悲劇
よく晴れた元日の朝のこと。山下香澄さん(仮名・54歳)は、緊張した面持ちでリビングのソファに座っていました。
約1時間後、夫の晴喜さん(仮名・59歳)が起きてきました。
リビングに現れた夫に対して、香澄さんは開口一番こう告げます。
「あけましておめでとう。あなた、離婚してください」
あまりに突然の離婚宣告に、硬直する晴喜さん。寝起きのため頭も回らず、呆然とします。
我に返った晴喜さんは、「な、なんだ、新年早々ふざけてるのか?」と応じるのがやっと。
一体、この夫婦になにがあったのでしょうか。
香澄さんが離婚を決めた理由
晴喜さんは、多くの部下を抱える年収1,500万円のエリートです。職場では慕われているようでしたが、家では「亭主関白」を絵に描いたような人でした。
香澄さんが晴喜さんになにか意見しようものなら
「誰のおかげでこの暮らしができていると思っているんだ」
「いやなら出て行ってもいいんだぞ。困るのはお前だからな」
夫の口から何度も聞いた言葉です。
そして、香澄さんが「この人とは暮らせない」と、晴喜さんを見限ったきっかけも、彼の発言にありました。
数年前のある朝。その日、香澄さんは朝から体調不良に悩まされていました。
なんとか家事を済ませた香澄さんでしたが、午後にはめまいがひどくなり、台所に立つことができない状態に。そのため子どもに総菜を買ってくるように頼み、夕食の準備を整えます。
そして夜、帰宅した晴喜さんが、リビングのソファで横になる香澄さんを横目に、開口一番こう言ったのです。
「おい帰ったぞ。なに寝てるんだ」
「ちょっと今日、体調が悪くて……」
「えっ、なんで? お前、家にいるだけじゃないか」