適用範囲に要注意…医療費控除の“グレーゾーン”

健康の維持・増進目的は対象外です。医師が治療に必要と判断したかがポイントとなってきます。

がん治療中の相談者から良く聞かれる質問を中心に説明しますが、最終的にはお住まいの管轄の税務署が判断しますので、おおよその目安にしていただければと思います。

■医療費控除の対象になるもの

・セカンドオピニオンの費用

・診療情報提供書の費用

・人工肛門(ストマ)の装具書の費用(医師による「装具使用証明書」が必要)

■注意が必要なもの

通院費・宿泊費

医療費控除の対象。領収書必要なし(ただしタクシーは体調によりバス、電車も難しく、やむを得ないと税務署が判断した場合は対象。領収書が必要)ホテルやウィークリーマンションなどの宿泊費は対象外。

なお、交通費に関しては原則患者本人のみ。患者さんが1人では通院できない場合など理由がある場合は各税務署にご確認ください

国内で未承認や保険診療以外の治療

医師が治療行為として必要であると判断した場合は対象。医師の処方に基づかない代替療法は除く

個室の差額ベッド代

本人や家族の都合だけで個室に入院したときなどは対象外

マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価

対象。ただし、疲れを癒す、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません

乳房再建の費用

術式による。美容目的は対象外

医療用ウィッグ、専用下着など

対象外。ただし都道府県で助成金対応しているところもある

人間ドック

対象外。しかし人間ドックの結果がんが発見され、治療を行った場合は「治療に先立って行われる診察と同様に考えることができる」ため、対象

妊孕性(にんようせい)温存のための卵子・精子凍結保存

対象外。2021年4月から国の研究促進事業としての経済的支援が開始されている

■対象にならないもの

・職場、保険会社などに提出する診断書の代金(治療のために必要ではないため)

・サプリメント

・健康食品