毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」を見て、将来の計画を立てる人は多いでしょう。しかし、その見方を間違えている人は多いもの。「きちんと分かっている」と胸を張って言えますか?
ウソだろ…51歳エリート部長が突然のリストラ。ねんきん定期便に記された〈年金月20万円〉を信じていたが、〈年金月14万円〉の残酷現実に絶句 (※写真はイメージです/PIXTA)

「ねんきん定期便」の年金額は確定額にあらず

毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」。老後の生活設計のために役に立つものですが、勘違いが多いことでも知られています。

 

まず多い勘違いが、記載されている金額が手取り額ではないという点です。公的年金は雑所得として課税対象となり、所得税や住民税が源泉徴収されます。また、65歳以上であれば原則として年金から介護保険料が天引きされ、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)も支払う必要があります。

 

もうひとつが、50歳以降に送られてくる「ねんきん定期便」に記されている年金額が、あくまでも見込額であること。「その時点までの加入実績」と「現在の加入条件が60歳まで続くと仮定した場合」のシミュレーションであり、菊池さんのように途中で退職したり、再就職して収入が大幅に減少したりすると、将来納める厚生年金保険料が減ります。当然といえば当然ですが、一度提示された見込額が決定額だと勘違いし、翌年になって変わっていることに驚くケースは後を絶ちません。

 

総務省『家計調査 家計収支編 2024年平均』によると、1ヶ月の支出は25万円ほどで、毎月3万円ほど赤字になるのが平均的な高齢夫婦の家計。当初、「年金だけで暮らしていけるだろう」と考えていた菊池さん。それを実現できるのは、相当額の年金を受け取る「勝ち組だけ」といえるでしょう。

 

「さらに月3万円ほど年金が減る未来を受け入れるか、それとも、もう少し就職活動を頑張るか……どうしたらいいんでしょうね、私は」

 

[参考資料]

日本年金機構『大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています』

総務省『家計調査 家計収支編 2024年平均』