厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、日本では同居20年以上の「熟年離婚」が増加しているようです。その動機はさまざまですが、もしも熟年離婚を検討するのであれば、その後の綿密なライフプラン設計が欠かせません。なかには、自ら離婚を切り出しておきながら撤回を望むケースも……。とある専業主婦の事例をもとに、山﨑裕佳子CFPが熟年離婚のリスクと老後計画の重要性について解説します。
信じられない…50歳専業主婦、“子育てにノータッチ”の夫に愛想を尽かし離婚宣言→16歳長男から告げられた「まさかの事実」に号泣。離婚撤回を望んだワケ【CFPが警鐘】
妻の不満が限界突破…“放任主義”の夫に「離婚宣言」
そう語る歩美さんに対し、息子が振り回されているのではと心配しながらも、雄介さんはこれまで、できるだけ妻の意向に沿うよう努めてきました。彼女の神経を逆なでしないよう、慎重に振る舞ってきたのです。
しかし歩美さんからすると、雄介さんは「自分の意見を持たない人」「子どもに対して無関心な放任主義」としか映っていませんでした。雄介さんはただ、子どもの気持ちを尊重し、のびのびと育てたいと願っているだけなのですが……。
「もういい! 大成のことを真剣に考えない父親なら、いないほうがマシよ!」
ある日、歩美さんは雄介さんに宣言しました。
「離婚しましょう。これからは大成と2人で暮らします。ただし、ただで離婚するわけにはいきません。生活費と養育費はきちんといただきますからね」
大声をあげる妻に、反論するすべはありません。雄介さんは、妻の宣言を受け入れることにしました。しかし、内心モヤモヤが残ります。
(養育費はわかるけど……なぜ別れた妻の生活費まで?)
しかし、妻の機嫌を損ねるわけにはいきませんから黙るしかありません。
すると、しんとしたリビングに、2階の子ども部屋から大成くんがやってきました。
「母さん、興奮するなよ。勉強してたのに、こっちの部屋まで丸聞こえで集中できないんだけど」
「あら……大成ごめんねえ。ねえ大成、こんな家出て行って、今日からママと暮らしましょう。ママ、離婚するから。い~い?」
「別に。勝手に離婚すれば? だけど、俺は父さんと暮らすから」
思いがけない返答に、歩美さんは言葉を失いました。しばらく沈黙したあと、「……はぁ? お父さんはあなたのことなんて、なにも考えてないのよ」とようやく口を開くと、大成くんは我慢ならない様子で、これまで胸に溜めてきた思いを語り始めました。
「あのさあ、いい加減にしてよ。なんにも考えてないのはどっちだよ! ずっと我慢してきたけど、母さんが俺の意見を聞いてくれたことなんて一度もないだろ……。俺のため俺のためっていうけど、結局は“自慢の息子”をつくることしか頭にないんだろ? 父さんがいなかったら、とっくに爆発してる。母さんは1人で暮らせばいいよ。そのほうが俺も父さんも幸せだから」
最愛の息子の“本音”を知った歩美さんは、あまりのショックに思わず号泣。
冷たい視線を向ける息子に対して「全部アナタのためだったのに……!」と吐き捨て、自室にこもってしまいました。