生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人が老後にゆとりある生活を送るためには、月々平均で37.9万円が必要とされています。これを年金だけで賄うことができるのはごく一部の限られた人だけでしょう。また、十分な貯蓄があったとしても、場合によっては破産危機に陥るケースも……。退職金を元手に悠々自適な生活を送るはずが、老後不安に直面した男性の事例を紹介します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
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老後の生活費、どれくらい必要?
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和4年)」によると、夫婦2人の老後生活において必要な生活費の最低額は「20~25万円」と回答した人が全体の27.5%と最も多くなっています(最低生活費の平均値は23.2万円)。
また、ゆとりある生活を送りたい場合の生活費は「30万円~35万円」程度必要であると回答した人が全体の20.5%、ついで「45~50万円」程度と回答した人が18%でした(ゆとりある生活の生活費の平均値は37.9万円)。
このことからわかるのは、老後にゆとりある生活を送るための「ゆとり費」は、最低生活費プラス15万円程が必要であるということです。
ゆとりある生活の基準は、必要最低限を超えた経済活動をする資金と言い換えることができるでしょう。また、同調査では「ゆとり費」の使い道の調査結果も出ています。
1.旅行やレジャー(60%)
2.日常生活費の充実(48.6%)
3.趣味や教養(48.3%)
以下、身内とのつきあい、耐久消費材の買い替え、子や孫への資金援助と続いています。
しかし、平均はあくまで平均で、お金に対する考え方や向き合い方は人それぞれです。平均を下回る生活費でも満足度の高い生活を送れる人がいれば、一方で平均を上回る退職金や年金があっても、無計画な支出を繰り返してしまったために先々の資金が心許ない状況に陥る人もいます。
そこで今回は、十分な退職金と年金があったにもかかわらず、とある理由から老後不安に陥ってしまった元教師の男性の事例を紹介します。