厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、日本では同居20年以上の「熟年離婚」が増加しているようです。その動機はさまざまですが、もしも熟年離婚を検討するのであれば、その後の綿密なライフプラン設計が欠かせません。なかには、自ら離婚を切り出しておきながら撤回を望むケースも……。とある専業主婦の事例をもとに、山﨑裕佳子CFPが熟年離婚のリスクと老後計画の重要性について解説します。
信じられない…50歳専業主婦、“子育てにノータッチ”の夫に愛想を尽かし離婚宣言→16歳長男から告げられた「まさかの事実」に号泣。離婚撤回を望んだワケ【CFPが警鐘】
本当にイライラする!…息子の教育方針をめぐってすれ違う夫婦
「もう、あなたといると本当にイライラする!」
早川歩美さん(仮名・50歳)は、夫の雄介さん(仮名・47歳)に声を荒げました。
(ああ、またいつもの小言が始まったか……。こういうときはヘタに反論しないほうがいいな)
雄介さんが黙ってやり過ごそうとすると、歩美さんはさらにヒートアップ。ありとあらゆる罵詈雑言を浴びせかけます。
今日の喧嘩の発端は、ひとり息子の大成くん(仮名・16歳)のこと。いわゆる “教育ママ”である歩美さんは、「いい大学に行ってほしい」と、高校に入学したばかりの息子を予備校に入れたいと考えています。
しかし、夫の雄介さんは反対の立場。というのも、息子がぼそっと「高校に入ったら、弓道部に入りたい」と言うのを耳にしていたからです。
ある夜、「大成をX予備校に通わせたいんだけど、いいよね?」という歩美さんに、「大成の意向を聞いてからにすれば?」と言ったところ、歩美さんの逆鱗に触れてしまった様子。「どうしてあなたはいつも私の考えを否定するの?」と声を荒げます。
これまでも2人は教育方針の違いから、何十回、何百回と同様の喧嘩を繰り返してきました。
幼いときから、大成くんは歩美さんの意向で、水泳やリトミック、ピアノ、英語、公文とさまざまな習い事をかけ持ちしていたそうです。
雄介さんはたびたび、「ちょっと詰め込みすぎじゃない? 休みもなくてしんどそうだよ。お金もばかにならないし、少し減らしてもいいんじゃない」と提案してきましたが、歩美さんはまったく聞き入れません。
「信じられない……なに言ってるの? すべては大成の将来のためよ。これからいろんな可能性が広がる大事な時期なのに。あなたは親としての自覚が足りないのよ」
出産を機に専業主婦へ…以来“子育て”に熱中する妻
出産を機に専業主婦になった歩美さん。もともと上昇志向の強い彼女は、周囲のママ友の影響もあってか、子育てに一生懸命になりすぎてしまっているようです。
「子どもにいい教育を受けさせることが、親としての責務なの」