厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、日本では同居20年以上の「熟年離婚」が増加しているようです。その動機はさまざまですが、もしも熟年離婚を検討するのであれば、その後の綿密なライフプラン設計が欠かせません。なかには、自ら離婚を切り出しておきながら撤回を望むケースも……。とある専業主婦の事例をもとに、山﨑裕佳子CFPが熟年離婚のリスクと老後計画の重要性について解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
信じられない…50歳専業主婦、“子育てにノータッチ”の夫に愛想を尽かし離婚宣言→16歳長男から告げられた「まさかの事実」に号泣。離婚撤回を望んだワケ【CFPが警鐘】
離婚後の生活の見通しは?…歩美さんの末路
こども家庭庁の調査によると、ひとり親世帯となった理由の多くは「離婚」によるもので、父子家庭では約7割、母子家庭では約8割を占めています。
また世帯数で見ると、父子家庭が約14.9万世帯であるのに対し、母子家庭は約119.5万世帯と、母親が子どもを引き取るケースが圧倒的に多いことがわかります。
一方、収入面では父子家庭と母子家庭の間に大きな差がみられます。父親の平均年間就労収入が約496万円であるのに対し、母親は約236万円にとどまっており、母子家庭の生活の厳しさが浮き彫りになっています。
こうしたひとり親家庭を支える制度として、所得が一定以下の場合に受けられる国の給付金や控除があります。主な支援制度は下記のとおりです。
【令和7年4月~18歳未満のこどもがいるひとり親家庭の主な給付金】
※ 障害のある子どもの場合は20歳未満まで対象
■児童扶養手当
……子ども1人の場合、
・全額支給:月額4万6,690円
・一部支給:月額4万6,680円〜1万1,010円
■ひとり親家族等医療費助成制度
……保険診療にかかる自己負担分を助成
■ひとり親控除
……所得控除額:35万円
専業主婦の歩美さんの場合、仮に夫から養育費をもらい、給付金を受けて大成くんと暮らすことができたとしても、現在と同じ生活水準を維持するのは難しいでしょう。それになにより、愛する息子の足かせになるようなことは、歩美さんの本意ではありません。
ようやく「自分が変わるしかない」と気づき、離婚撤回を望んだ歩美さんでしたが、時すでに遅し。彼女ただただ、後悔とともに2人の背中を見つめるしかありませんでした……。
山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表