離婚後の生活の見通しは?…歩美さんの末路

こども家庭庁の調査によると、ひとり親世帯となった理由の多くは「離婚」によるもので、父子家庭では約7割、母子家庭では約8割を占めています。

また世帯数で見ると、父子家庭が約14.9万世帯であるのに対し、母子家庭は約119.5万世帯と、母親が子どもを引き取るケースが圧倒的に多いことがわかります。

一方、収入面では父子家庭と母子家庭の間に大きな差がみられます。父親の平均年間就労収入が約496万円であるのに対し、母親は約236万円にとどまっており、母子家庭の生活の厳しさが浮き彫りになっています。

こうしたひとり親家庭を支える制度として、所得が一定以下の場合に受けられる国の給付金や控除があります。主な支援制度は下記のとおりです。

【令和7年4月~18歳未満のこどもがいるひとり親家庭の主な給付金】
※ 障害のある子どもの場合は20歳未満まで対象

児童扶養手当

……子ども1人の場合、

・全額支給:月額4万6,690円

・一部支給:月額4万6,680円〜1万1,010円

ひとり親家族等医療費助成制度

……保険診療にかかる自己負担分を助成

ひとり親控除

……所得控除額:35万円

専業主婦の歩美さんの場合、仮に夫から養育費をもらい、給付金を受けて大成くんと暮らすことができたとしても、現在と同じ生活水準を維持するのは難しいでしょう。それになにより、愛する息子の足かせになるようなことは、歩美さんの本意ではありません。

ようやく「自分が変わるしかない」と気づき、離婚撤回を望んだ歩美さんでしたが、時すでに遅し。彼女ただただ、後悔とともに2人の背中を見つめるしかありませんでした……。

山﨑 裕佳子
FP事務所MIRAI
代表