延々話し続ける、理詰めする、金品を要求するなど、悪質なクレーマーにもさまざまなタイプが存在し、それぞれによって異なる対処法があります。本記事では、尾形圭子氏の著書『ソツのない受け答えからクレーム対応まで[新版] 一生使える「電話のマナー」』(大和出版)より、クレーマータイプ別の電話応対を紹介します。
「誠意をみせろ」「他社では×万円くれた」…〈金品せしめタイプ〉の悪質クレーマーに“一人で”戦ったオペレーターの末路【マナー講師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

話し続ける粘着質タイプには同意や共感を示す

粘着質タイプ

〈基本〉

「たしかに、おっしゃるとおりかと思います」

「私もそう感じると思います」

※事実の説明で「思う」は禁句だが、こちらの気持ちを伝えるときには微妙なニュアンスを伝えることができる

 

「でもさぁ……」「だけどね……」「言っていることはわかるけど……」

 

このような逆接の接続詞をつかって、延々と話し続けるお客様がいます。担当者としては、不毛な会話を続けることにフラストレーションがたまり、なかには我慢できずに逆ギレしてしまう人もいます。しかし、こちらが感情的になっては元も子もありません。相手の微妙な心理を読み取り、円満な解決を図ることが必要です。

 

このタイプに多いのが「理屈ではわかっているけれど、感情として納得できない」というパターンです。「あなたが私の立場だったら、どう思う?」というフレーズをつかう人が多いのも、その表れでしょう。そこで、こう聞かれたら「たしかに、おっしゃるとおりかと思います」「私もそう感じると思います」と応じます。大切なのは、相手の気持ちをしっかり受け止める言葉なのです。「お客様、そうはおっしゃいましても……」などと、相手の気持ちを閉め出すような言い方をしてはいけません。

 

ただし、「おっしゃるとおりです!」と過剰な理解を示すと、「じゃあ、やれよ」と、逆手にとられることがあるので注意します。

 

●逆ギレしては元も子もない。しばらくの我慢は必要!

論理的に話す理路整然タイプには、心のこもった説明を

理路整然タイプ

〈基本〉

(1)筋道を立てて話す

(2)心を込めて話す

(3)話の腰を折らない

 

〈応用〉

「はい」

「さようでございますか」

歯切れのいいあいづちで真摯な姿勢を示す

 

感情をあらわにせず、理路整然と意見を述べるお客様もいます。このタイプに苦手意識をもつ人は多いようです。相手の隙のない話し方に緊張してしまい、しどろもどろの対応になるのです。しかし、きちんと話せば納得していただける可能性は高いといえるでしょう。

 

ただし、話し方には十分注意する必要があります。

 

まず、相手が理路整然と話しているのですから、こちらもきちんと筋道を立てて話さなければなりませんが、冷たい話し方になってはいけません。テキパキ話すというより、むしろ心を込めて話すようにしてください。また、どんなお客様に対しても、途中で話をさえぎるのは失礼ですが、とくにこのタイプは、話したいことが整理されているので、話の腰を折られることをとても嫌います。さらに、「はい」「さようでございますか」と、ていねいで歯切れのいいあいづちで、真摯な姿勢を示すことも効果的です。このようにして、状況把握をしっかり行ったうえで事情説明と提案に移ります。

 

●表面的には穏やかでも、クレーム客は怒りを抱えている