真面目でがんばり屋な人ほど、実はダイエットの難易度が高くなりやすいことはご存じでしょうか? その理由と対策について、肥満・脂肪肝の専門医である尾形哲氏の著書『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術【増補改訂版】』(KADOKAWA)より、40代女性の事例をもとにみていきましょう。
ダイエットしたいのに、夜のお菓子がやめられない→身体の“SOSサイン”かも…真面目でがんばり屋な人ほど陥りやすい「悪循環」の正体【医師が解説】
ストレスをとにかく1つ減らそう
「まずはお母さんのことで、負担を減らす対策を考えなければいけませんが、職場のほうはどうですか? ストレスを感じていることはありませんか?」
そう言われて、すぐに同僚の看護師たちの顔が浮かんだ。少し迷ったが、ありのままを話すことにした。
「私は独身だし、今の職場では古株なので、夜勤も規定のギリギリまで入れているんです。本当はちょっと減らしたいんですが、子どもが熱を出したとか言われると、シフトを交代してあげたりして」
「上司にちゃんと相談していますか?」
「一応……」
「例えば夜勤のない外来に移ったり、あるいは夜勤の回数を減らしてもらったりすることはどうですか?」
先日も看護師長から、「きついシフトに対応してもらって悪いわね、もっと働きやすい環境にしたいのだけど」と言われたことを思い出した。最近、1人産休に入って、シフトを回すのが大変なのだ。
考え込む私に、先生は「いい人でいるのをやめましょう」と告げた。
「あなたは1人しかいないんですよ。いろんな問題を抱えて、がんばりすぎてエネルギーが枯渇(こかつ)しそうになっているんですよ。疲れやすいのは、肝臓に脂肪がたまり、肝機能が低下していることも関係しています。まずは肩の力を抜いて、エネルギーをダイエットに回せるような環境を作ることから始めていきましょう。これはよくお話しすることですが、人は困ったことが2つまでなら対応できるけれど、それが3つにもなるとすべてうまくいかなくなる。心配事は2つまでに収めましょう」
希望を込めてうなずく私に、
「全部自分で抱え込む必要はありません。必要なときに、ちゃんと人に助けてもらわないと、できることもできなくなってしまいますよ」
と、先生は言ってくれたが、正直なところ私はまだ「そうしたいのはやまやまだけど、本当に可能なんだろうか……」と思っていた。
ストレス要因が1つ減るだけでエネルギーが復活します。