ダイエットを妨げていた「食べ物ではない敵」の正体

今の私は、身長164cm、体重77kg。身長と体重から割り出すBMIが28.63。肥満度の分類で言うと肥満(1度)にあたる。そして体脂肪率は42%だから、かなり高い。また、肝機能の数値はAST26、ALT64、γ(ガンマ)-GTP37とこちらも危うい。おそらく脂肪肝も進行し始めているのだろう。

これまで見て見ぬ振りを続けてきたが、何か大きな病気に繫(つな)がることのないように改善したいと思っていること、そして目下(もっか)の困りごとはやたらと疲れやすく、夜勤の仕事がつらいことだと訴えた。

「本当にがんばり屋さんですね。真理子さんのような人は、人の世話にかかりきりになって、自分のことを後回しにしてしまうのでは? ほかにも日常生活の中で気になることがあるのではないですか」

これまでいろんな病院のいろんな先生を見ているが、そんなことを聞いてくださる先生は初めてだった。少し驚きながらも実家の母が1人暮らしで訪問介護やデイサービスを受けていて、「要支援2」に分類されていることを打ち明けた。

母には再三、実家に戻ったほうがよいかと尋ねていたが、まだ1人で大丈夫だと言うので何かにつけて様子を見に行くようにしていた。それがこのところは、玄関で転んだだの、診察券が見つからないだのと頻繁(ひんぱん)に電話があり、慌ててクルマで駆けつける羽目(はめ)になっていて、何だかんだと振り回されてばかりだ。

妹も同じ地域に住んでいるのだが、高校受験を間近に控える娘のことで頭がいっぱいで、「看護師をしているお姉ちゃんのほうがお母さんも安心でしょ」と言い、私に任せきりだ。家族のことはあまり人に話したりしないほうだが、思わず感情的になってO先生にぶちまけてしまった。

「そうですか。痩せられないのはいろんな心配事が重なっている上に、実際に実家との行き来でエネルギーを使い切ってしまっているからですね」

先生はさらに続けた。

「真理子さんは“我慢の容量”を使い果たしてしまっています。がんばりすぎているからダイエットが続けられなかったのですよ」

私は初めて自分の味方を見つけたような気がした。