お客様の不満と直に接する電話でのクレーム応対では、内容を把握しながらお客様の感情を受け止めることが重要です。電話越しとはいえ、事務的な対応や早期解決を優先しようとすれば見透かされ、かえって火に油を注ぐことも。尾形圭子氏の著書『ソツのない受け答えからクレーム対応まで[新版] 一生使える「電話のマナー」』(大和出版)より、クレーム応対時に使える電話マナーを解説します。
お客様の怒りを“一瞬で”鎮める…「大変申し訳ありません」の直後に続く〈ひと言〉【マナー講師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

お客様の「感情」を聞くために豊富なあいづちを使う

〈基本〉

「はい」「さようでございますか」

※声の強弱やトーンでバリエーションをつける

 

〈応用〉

「おっしゃるとおりでございます」

「ごもっともでございます」

あいづち+お詫びの言葉+復唱

【例】「さようでございますか。たいへん申し訳ございません。まだ、商品がお手元に届いていないということでございますね」

 

お客様の話を傾聴していると、「ごもっともな意見」があれば、「身勝手な要求」もあります。しかし、お客様にしてみれば「ひどい扱いを受けた」と感じているケースがほとんどです。

 

したがって、お詫びした後の傾聴の段階では、お客様の見解が正しいかどうかではなく、感情の問題として扱います。

 

具体的には、会話の合間であいづちを打って、お客様に共感を示します。「はい」「さようでございますか」という基本フレーズを中心に、バリエーションを増やしておきます。

 

あいづちは、声の強弱やトーンによって印象は変わりますが、「おっしゃるとおりでございます」「ごもっともでございます」などのフレーズも覚えておくといいでしょう。単調なあいづちでは、「私の話をちゃんと聴いているのか!」と、二次クレームに発展するおそれもあります。

 

また、あいづちを打ちながら、「お詫びの言葉」に「復唱」を加えて、共感を示す話し方もあります。

 

●共感を示すには、あいづちが効果的。バリエーションを増やそう

クレーム応対では速さより「相手への気遣い」を見せる

〈基本〉

「さようでございますか。たいへん申し訳ございません」

         +

「お怪我などはございませんでしたか?」

「お部屋を汚すようなことはございませんでしたか?」

「お洋服は大丈夫でございますか?」

「お体の具合はいかがでしょうか?」

 

「そちらで買ったグラスなんだけれど、箱を開いたらヒビが入っていた!」

 

こんなクレーム電話を受けたら、あなたはどう対応しますか?

 

「さようでございますか。たいへん申し訳ございません。それではさっそく確認いたしますので……」

 

もし、こうした受け答えをしていたら、少々あわてすぎです。状況把握に移る前に、お客様を気づかう言葉がほしいものです。たとえば、「お怪我などはございませんでしたか?」と言うことができます。この一言で、お客様の怒りはトーンダウンするでしょう。

 

このほかにも、商品破損で中身がこぼれ出てしまうおそれがあれば、「お部屋を汚すようなことはございませんでしたか?」「お洋服は大丈夫でございますか?」といった言い方があります。食品への異物混入などでは、「お体の具合はいかがでしょうか?」などと、相手の健康を気づかうことが大切です。

 

お客様の心配もせず、クレームへの対処法ばかりに気をとられていると、その無神経さがお客様をいらだたせてしまうことがあります。注意してください。

 

事務的なクレーム対応は、お客様に見透かされている