残価設定型クレジット(通称・残クレ)について、世間では「デメリットが多いサービス」とする否定的な意見も少なくありません。ただ、世間で言われるようなデメリットだらけのサービスであれば、はたしてここまで普及するものでしょうか。そこで今回、あえて残クレを利用する40代夫婦の事例をもとに、残クレ利用者の実態をみていきましょう。※個人の特定を避けるため、登場人物の情報は一部変更しています。
残クレで後悔する人は自業自得でしょ…手取り月収50万円・貯金1,300万円「残クレ肯定派」夫婦の言い分【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

村上家が残クレ利用を決心したワケ

長男が小学生の頃は、週末は所属していたスポーツ少年団の送迎があったため、長男の友だちも乗せて、いつも賑やかでした。しかし、中学生になると部活動で電車移動が増え、車の出番はほとんどなくなりました。

 

また、週末に家族そろって車で出かけることも減り、現在は次男の送迎に利用する程度です。

 

一方、教育費の負担は増しています。長男は中学受験をせずに公立の中学校に進学、高校受験を控えています。また部活動が忙しく、個別で対応してくれる塾に通っているため、毎月の塾代が割高です。塾代、習い事、部活動の遠征費用などで、子ども2人に毎月10万円ほどかかっています。

 

長男の高校進学後は、東京都の授業料無償化の恩恵にあずかれるとしても、進学した高校が私立であれば、授業料以外にも多額のお金がかかるでしょう。

 

村上家の現在の預貯金は1,300万円ほどと、決して余裕があるとはいえません。

 

家計を見直す一環として、夫婦で車をどうするか話し合いました。現在のミニバンはもう10年近く乗っていて、そろそろ買い替えたい時期なのです。

 

これから迎えるであろう教育費ピーク期のことを考えると、車を手放すという選択肢もあります。しかし、車で約2時間のところに1人で暮らす健二さんの母親に何かあったら……など、もしもの時を考えると、やはり手放してしまうのも不安です。シェアカーという手もありますが、使いたい時に使えるとも限りません。

 

そんな村上家の選択として挙がったのが、残クレでした。

 

残クレが家計を守る?

車の買い替えで、新たなミニバンを一括購入する場合、まとまった資金が必要です。また、今後利用頻度が減っても維持費はほとんど変わりません。

 

その点、残クレであれば、たとえば下記のような条件で車を購入した場合、月々の支払いは6万円ほどに抑えることができます。

 

【購入車両の条件】

・車両価格400万円

・残価200万円

・利率3%

・年数3年

 

この場合、一括で400万円を支払ってしまうと、手元資金が減り家計の柔軟性を失ってしまいます。教育費がかかってくるこのタイミングでは不安です。

 

一方、残クレなら、多少金利を払ってでも手元資金を教育費や生活費に回すことができ、これが家計を守ることにつながります。

 

また、手元に資金があれば、新NISAなど投資に回すことも可能です。

 

そして3年後に返却することで、支払総額は400万円を大きく下回ります。その時は子どもも成長し、車はミニバンでなくてもよいかもしれません。コンパクトカーに乗り換えることもできるでしょう。