深刻な人手不足を背景に、日本の求人市場で、「50代の経験」の価値が急騰しています。実は、50代の豊富な知見を求める企業と繋がるプラットフォームは、宝の山のように存在していることをご存知でしょうか。しかし、その宝の山を目の前にしながら、多くのベテランが“不採用”の現実に打ちのめされていて……。採用枠は豊富でも、自ら採用面談で落ちにいってしまうミドルシニアがやりがちな過ちとは? 本記事では、54歳のときに執行役員まで務めた通信会社で懲戒処分となり、55歳で無職となった竹本和広氏の著書『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)より、同氏の経験を交えながら、50代で新たな職を掴むためのポイントを紹介します。
勤続30年・通信会社の55歳元執行役員が、再就職の面談で不採用連発…落ちまくった「50代無職」以外の致命的な理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

50代以上の人材を“名指しで”求める企業も

ビジネススキル以外に趣味や特技を生かすのもよいと思います。小物やアクセサリーなどハンドメイドの特技を生かして「Creema(クリーマ)」「minne(ミンネ)」へ出品して販売する。音楽好きでバンド活動している人なら、クラウドファンディングでチャリティーからはじめてみるのも楽しそうです。国内最大級クラウドファンディングである「CAMPFIRE」には、さまざまな事例も紹介されていますので参考にしてはいかがでしょうか。

 

市場の変化も追い風です。私が複業活動をはじめた2021年には、中小企業やスタートアップ企業が中心だった求人が、いまでは大手企業にも広がっています。もはや、あらゆる分野で人手不足は深刻で、ひとり何役もこなさないと社会を維持できない時代に突入したと感じています。ある大阪の企業では「バブル世代には熱いものがある」と、むしろ50代以上の人材を求めている会社があるほどです。

 

このようにプラットフォームには、さまざまな可能性が広がっています。あなたの経験を必要としている会社は必ずあります。地道にコツコツと複業活動を継続することで、必ず道は開けるはずです。

 

6か月程度の期間を目安に、月に1〜2件の案件獲得を目標に活動してみてください。あなたの豊富な経験を生かす、新しいステージがはじまっていくと思います。

ミドルシニアの採用面談…経験豊富な50代がやりがちなNG行動

あなたに同じような失敗をしてほしくないので、私の失敗事例を紹介します。私が印象に残っている失敗は、「自分ができること」の押し売りです。

 

プラットフォームにある案件へ応募したあとの採用面談で、私は自分の経験やスキルを一方的に語り続けてしまいました。30年の営業経験、マネジメント実績、資格保有、などを力説。しかし結果は不採用の連続。当時は無職で焦りもあり、相手が抱える課題やニーズを理解しよう、という余裕がありませんでした。

 

あとから振り返ると、面談相手は「この人にまかせて、どんな価値が得られるのか」を知りたかったはずです。私の経験がどう役立つのか、具体的な提案や解決策を示せていれば、結果は違ったかもしれません。

 

この経験は会社員のうちに複業をすすめる理由のひとつでもあります。心に余裕があってこそ、相手の立場に立って考えられるからです。

 

「仕事とはお客さまの課題を解決し対価を得ること」

 

どんなに素晴らしい経験や能力も、相手の課題解決に結びつかなければ意味がありません。あなたも焦らず、相手の立場に立って価値を提供する視点を忘れないでください。

 

〈ポイント〉

〇あなた好みのプラットフォームを決める。求人検索に慣れてきたら、自分にあった求人サービスを使うのがいちばん。各プラットフォームによって求人検索の方法が違うため、試しているうちに好みのものが絞られてくる。

 

〇会員登録したら放置しない。最低でも2週間に1回アクセスしアクティブ状態を維持。

 

〇応募したあとの流れは次のとおり。(案件次第)応募→(選考通過後)→面接→合否連絡→契約・業務開始応募後・面接後の不採用連絡がない場合もある。

 

〇面接は「口角上げる」を意識する。(印象アップ)

 

〇プロフィールが充実するとスカウトがくる。スカウトがきたら迷わず応募を!

 

 

竹本 和広

セカンドキャリアコーチ

株式会社ライフシフトラボ 複業トレーナー

 

※本記事は『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。