家族との突然の別れ。その深い悲しみに追い打ちをかけるように、「遺された家族の生活費がない」という経済的な危機が訪れることがあります。そのためのセーフティーネットが「遺族年金」ですが、受給要件の厳しさと複雑さは、あまり詳しく知られていません。本記事では、河原優美子氏の著書『知らないと損する!お金の手続き』(ごきげんビジネス出版)より、遺族年金のしくみと受給要件について解説していきます。
夫が遺してくれたのは“もらえない年金”だった…。保険料の「3分の2納付」の壁で、遺族年金の権利を失う悲劇的なケース【社労士が警鐘】 (※写真はイメージです/PIXTA)

死亡一時金は「一括払い」

一度も受け取らずに亡くなった場合、国民年金第1号の被保険者期間の納付済み期間が36か月以上あるひとが死亡したときに、遺族に対して納付済み期間に応じて一時金が支給されます。

 

出典:『知らないと損する!お金の手続き年金・社会保険・介護で困らない制度』(ごきげんビジネス出版)より抜粋
[図表5]死亡一時金 出典:『知らないと損する!お金の手続き年金・社会保険・介護で困らない制度』(ごきげんビジネス出版)より抜粋

 

死亡した月の前月までに付加保険料納付済み期間が36か月以上ある場合は、上記の額に8,500円が加算されます。

 

死亡一時金を受け取れる遺族は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順番です。生計を同一にしていたことが条件です。死亡日の翌日から2年を経過すると受け取れません。なお、妻が寡婦年金を受け取るときは死亡一時金を受け取れません。

 

《ポイント:国民年金死亡一時金》

〇国民年金第1号被保険者のときの納付済み期間が36か月以上。

〇国民年金3号被保険者の期間は含まない。

〇国民年金独自給付のため、厚生年金保険に死亡一時金はない。

 

 

河原 優美子

社会保険労務士

 

※本記事は『知らないと損する!お金の手続き年金・社会保険・介護で困らない制度』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THEGOLDONLINE編集部が本文を一部改変しております。