40代、50代は、人生の転換期。親の介護が現実味を帯び、自身の健康にも不安を感じはじめ、定年までのキャリアやその先の生活について考えを巡らせる――そんな時期ではないでしょうか。こうしたライフイベントの変化には、必ず「お金の手続き」が伴います。健康保険、介護保険、年金、雇用保険……。複雑に見える制度ですが、正しく知って活用すれば、万が一の時にあなたや家族を支える心強い味方になります。本記事では、河原優美子氏の著書『知らないと損する!お金の手続き』より、40歳以降受け取れる「国からのお金」とその条件についてみていきましょう。
繰り上げなくても「65歳より前」から年金が“特別に”受け取れる…日本年金機構から届く「緑色の封筒」の中身【社労士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

老後を見据えた転職・退職は、最高150日分「失業等給付」が受け取れる

老後を見据えて転職や退職を考えたことはありませんか? 退職後にハローワークに行けば、就職先を探しながら雇用保険から基本手当(失業等給付)を受け取れます。雇用保険料を支払った年数が20年以上なら最高150日分です。雇用保険料を支払った年数により、90日から150日までになります。

 

会社が倒産、会社の人員整理、など会社都合で離職したとき、障がい者なども受け取れる日数が違います。自己都合などでの退職では、ハローワークで手続き後に受け取れるまでに日数制限(給付制限、令和7年4月1日から1か月の予定)が設けられています。

 

また、ハロートレーニング(離職者・求職者支援訓練)という職業者訓練や講座・セミナーなど再就職に向けての指導や援助が多くあります。一般事務、介護福祉サービス、理容師、美容師、調理、ネイリスト、ウェブデザイン、などさまざまな訓練が実施されているのです。

 

この制度は、雇用保険を受けている求職者のひとは基本的に無料(テキスト代などは自己負担)で行われています。雇用保険を受給できないひと(ハローワークで申し込み、必要と判断されたひと)も受講できる制度です。スキルアップのために利用しましょう。

国民年金保険料の支払いは「59歳11か月」まで

国民年金の保険料の支払いは60歳の誕生日の前月で終了です。会社員に扶養されている配偶者は、国民年金第3号被保険者で60歳になると終了します。

 

扶養されている配偶者が国民年金納付月数480月の満額を満たしていない場合、60歳以降は任意加入すれば国民年金を満額にできます。その際に付加保険料(1か月400円)も同時に払うと付加年金(1か月200円)が受け取れるのです。支払った保険料を2年で回収できてしまう、お得な年金ですよね。

 

あなたが65歳になったとき会社員として働き続けている場合、国民年金第3号被保険者の配偶者が60歳になっていないときは国民年金の加入手続きをしてください。あなたが65歳を超えると国民年金第2号被保険者ではなくなり、その配偶者は国民年金第3号被保険者ではなくなります。

 

年金事務所または市区町村役場の国民年金担当課で国民年金第1号被保険者の届け出が必要になります(健康保険の扶養とは別です)。国民年金第3号被保険者は、国民年金第2号被保険者に扶養されている20~60歳までの配偶者となっているためです。

 

一方、厚生年金保険は70歳まで加入できます。保険料を支払うことになるため、年金額は65歳以降、毎年10月に増額(改定)されます。