検査済証がない場合のリスクとは?
不動産投資において、検査済証の有無は非常に重要なポイントであり、検査済証がないことで思わぬリスクを負う可能性があります。ここでは、検査済証がない場合のリスクを3つ解説します。
建物を使用できない
新築物件の場合、原則として、検査済証が交付されるまではその建物を使用することはできません。これは、建物が建築基準法に適合していることを公的に証明されていない状態では、安全性が保証されないためです。ただし、特定行政庁の許可があれば例外的に仮使用が認められるケースもありますが、あくまで一時的な措置であり、恒久的な使用には検査済証が必須です。
一方で中古物件の場合、検査済証がないまま長年使用されているケースも見受けられます。しかし、そのような建物は今後の使用や所有権の移転、売却時などに大きな影響が生じる可能性があります。例えば増築やリフォーム、用途変更の際に行政の許可が下りにくくなったり、資産価値が下がったりすることもあるため、検査済証の有無を必ず確認し、必要に応じて専門家に調査を依頼するなどの対策を講じることが重要です。
住宅ローンや不動産投資ローンの融資を受けられないケースが多い
検査済証が交付されていない建物に対しては、住宅ローンや不動産投資ローンの融資を受けられないこともあります。これは、金融機関が融資対象物件の法的適合性を重視するためであり、検査済証がないということは、建物が建築基準法などの法令に適合していない、または適合していることを証明できないと判断するからです。
不動産投資では多くの場合、金融機関からの融資を利用して物件を購入するため、ローンが受けられないことは、事業計画そのものを頓挫させる原因になります。仮に現金で購入したとしても、将来売却を検討した際に次の買主がローンを利用して購入することができないため、検査済証のない物件は流動性が低く、資産価値の面でも不利になりやすいというリスクを伴います。
したがって、不動産投資において物件を検討する際は、必ず検査済証の有無を確認し、将来的な売却も視野に入れた上で購入検討するようにしましょう。
増改築や売却ができない
検査済証がない建物に対しては、一定の増改築や用途変更が法的に認められない場合があります。例えば防火地域や準防火地域では、増築に対して厳しい制限がかかっており、検査済証がなければそもそも許可を得ることができません。
さらに、防火指定のない地域であっても、10㎡以上の増築や200㎡以上の用途変更を行う場合には、建築確認が必要になり、その際に検査済証の提示を求められることがあります。また、改築を希望しても行政側に適法性を証明できず、工事が認められないケースも少なくありません。
売却についても、検査済証がないからといって絶対に売却できないわけではないものの、買主から違法建築の疑いをもたれたり、資産価値が低く見積もられたりすることが多く、取引の難易度が高くなります。
このように、検査済証がないことは、将来の不動産の活用方法に制限を生じさせる重大なリスクであるといえるでしょう。そのため、まずは検査済証があるかどうかを確認し、もしない場合には、早急に対策を講じるようにしましょう。
