検査済証はいつから義務化された?ない理由は?
検査済証の発行や取得そのものが直接的に義務化されているわけではありません。
しかし、建築基準法によって完了検査を受けることは義務化されており、この完了検査に合格しなければ検査済証は交付されません。つまり、検査済証がないということは、適法に建物が建てられたという証明がないことになります。証明ができないと、建物の売買や賃貸の際に支障が出る可能性も高いため、現在では検査済証を取得することは事実上の義務となっています。
ただし、すべての建物に検査済証があるとは限りません。特に、建築基準法が改正された2000年以前は、完了検査の実施率が現在よりも低く、完了検査を受けずに建物が竣工してしまうケースが少なくありませんでした。そのため古い物件の中には、完了検査自体が行われておらず、結果として検査済証が存在しない物件も多くあります。
こうした背景から、中古物件を購入する際には検査済証の有無を必ず確認し、検査済証が無い場合にはその理由も確認したうえで投資判断をしましょう。
検査済証はいつもらえる?
検査済証をはじめとするそれぞれの証明書は、以下のタイミングで交付されます。

検査済証は、建物の工事が完了した後に、完了検査に合格することで交付されます。具体的なタイミングとしては、建築主が工事完了日から4日以内に完了検査を申請し、申請が受理されてから7日以内に建築主事や指定確認検査機関が検査を実施することになっています。この流れに従って無事に検査に合格すれば、その後に検査済証が発行されます。
ただし、書類の不備や現場の状況によっては検査に通らず、再申請となるケースもあり、その場合は交付までの期間が延びることになります。
各検査への対応には専門的な知識が求められるため、施行会社や建築士事務所などに委任するケースが多いです。
検査済証はどこでもらえる?
ここでは、検査済証をどこでもらえるのか、紛失時における再発行の可否、検査済証がない場合の対処法を解説します。
建築主事または指定確認検査機関が発行する
検査済証は、建築主事または指定確認検査機関によって発行されます。建築主事とは、地方公共団体(都道府県や市町村など)に属する建築の専門家で、建築基準法に基づく審査や検査を行います。一方、指定確認検査機関は、国や都道府県から指定を受けた民間の検査機関であり、建築確認や完了検査などの業務を代行しています。
建物の工事が完了した際に、建物の所有者である建築主が申請手続きを行います。しかし、前述した通り、これらの申請手続きは専門的な知識やさまざまな書類が必要になるため、実際には建物の設計や施工を行った建築会社やハウスメーカーが建築主の代理として申請を行うのが一般的です。
不動産投資において建物を建てる場合には、この手続きを誰が担当するのか、事前に確認しておくようにしましょう。
紛失した場合に再発行する方法
検査済証を紛失してしまった場合、検査済証は再発行することができません。これは、検査済証が発行された時点の建物の状況を証明するものであり、その後の増改築などによって状況が変化する可能性があるためです。
ただし、過去に検査済証が発行された事実を証明することは可能です。具体的には、「建築計画概要書」や「台帳記載事項証明書」といった書類を取得することで、該当の建物が完了検査を受けて検査済証を得ていたかどうかを確認することができます。
これらの書類には、その建物に対して建築確認や完了検査が行われ、検査済証が発行されたかどうかの記録が残されており、建物の所在地を管轄する役所の建築指導課などで取得できます。
不動産投資で中古物件の購入を検討する際、もし検査済証が見つからない場合は、これらの書類を取得して、過去に検査済証が発行された履歴があるかどうかを確認するようにしましょう。
最初から検査済証がない場合の対処法
2000年以前に建てられた建物など古い建物には、はじめから検査済証を発行していない場合もあります。
このような場合に、建物の安全性や法令適合性を確認する手段として「法適合状況調査」という方法があります。この調査では、専門の検査機関が建物の図面調査や現地調査を行い、現在の建築基準法などの法令に適合しているかどうかが詳細に調査されます。調査の結果は「法適合状況調査報告書」としてまとめられ、建物が現在の法令に適合していることを示すひとつの証明となります。
ただし、この法適合状況調査報告書は検査済証の代替となるものではないという点に注意が必要です。そのため金融機関の融資や、将来的な売却・増改築の際に、検査済証が必須となる場面では、この報告書だけでは対応できない可能性もあります。
また、法適合状況調査の前段階として、まずは建築士による調査を行うことも有効な手段です。この調査により、建物の抱える潜在的な問題点を早期に把握し、その後の対応を検討するための情報を得ることが可能です。
