(※写真はイメージです/PIXTA)

マイソクとは、不動産会社が不動産の購入希望者や賃貸物件の入居希望者に向けて、物件の概要や間取り図、広告主の情報などをまとめた資料のことをいいます。本コラムでは、売買物件用のマイソクに焦点をあて、マイソクの語源や記載内容、マイソクがどのように作成されるかの手順や注目されるポイント、マイソクを見る際の注意点を詳しく解説します。

マイソク(不動産売買用)に記載される主な情報

(画像:PIXTA)
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マイソクには、物件に関する多岐にわたる情報がまとめられていますが、売買物件と賃貸物件では記載される内容に若干の違いがあります。売買物件の場合は購入を検討するための詳細情報が中心となり、賃貸物件では入居に関する利便性や初期費用などの情報が重視されます。

 

以下からは、売買用のマイソクに記載される具体的な内容について解説します。

 

物件の写真

物件の写真は、マイソクにおける重要な要素のひとつであり、購入希望者の第一印象を大きく左右します。外観写真のほか、リビング、キッチン、バスルーム、各居室といった専有部の写真、エントランスやロビーなどの共用部の写真が掲載されます。居住中の物件であれば外観や共用部の写真のみとなることもあります。

 

物件が実際にどのような状態かを具体的にイメージしやすくするため、できるだけ明るくきれいな写真が使用されることが一般的です。物件の魅力が適切に伝わるかどうかで、問い合わせ件数や成約率も大きく変わるため、不動産会社も撮影には力を入れています。

 

広告主の情報

マイソクには、物件を広告している不動産会社、すなわち広告主の情報も明記されます。

 

具体的には、広告主である不動産会社の正式名称、会社の所在地、連絡先となる電話番号が必須項目です。さらに、宅地建物取引業の免許番号、所属している不動産関連団体名、そしてその団体が「不動産の表示に関する公正競争規約」を遵守していることを示す公正取引協議会加盟事業者である旨も記載されます。

 

これらの情報は、広告の信頼性を担保し、万が一、情報に誤りがあった場合や不明点があった際に、消費者が適切に問い合わせを行うことができるようにするために記載されています。

 

取引態様

取引態様は、マイソクに記載される重要な情報のひとつであり、広告主である不動産会社が、その物件の取引においてどのような立場にあるのかを示すものです。主に「売主」「代理」「媒介」のいずれかが記載されます。

 

売主とは、不動産会社がその物件の所有者であり、購入希望者に対して直接に販売を行う立場です。この場合、販売を行う不動産会社自身が所有者であるため、購入希望者にとって価格交渉がしやすいという側面もあります。

 

代理は、売主から販売業務の全てを委任されている立場であり、実質的に売主と同様の権限をもちます。

 

媒介は、売主と買主の間に入り、契約の成立をサポートする立場を指します。

 

それぞれの取引態様によって、契約の流れや交渉の進め方、費用などが変わってくるため、投資判断の際に必ず確認するようにしましょう。

 

物件の基本情報

販売価格、想定賃料、管理費・修繕積立金などの収支関連データに加え、所在地や交通利便性(最寄り駅からの徒歩分数など)、土地の面積や建物の延床面積、そして構造(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など)などが記載されます。さらに、築年数や間取り、駐車場や駐輪場の有無、接道状況なども記載内容となります。

 

これらの情報は、投資物件としての収益性や将来性を判断する上で不可欠な要素です。例えば駅からの距離は賃貸需要に直結しますし、築年数は修繕費用や減価償却費に影響します。これらの基本情報を正確に提供することで、購入希望者は具体的かつ適切な投資計画を立てることができます。

 

物件の詳細情報

マイソクには、物件の基本情報に加えて、より専門的かつ詳細な情報も記載されます。

 

例えば建築確認番号、建ぺい率や容積率といった法規制に関する情報、建物内の住戸数などが含まれます。また、その物件がどのような都市計画区域に位置しているか、用途地域は何か、そして国土法届出の有無なども重要な情報です。

 

さらに、水道等各種負担金の有無や金額、土地の権利形態(所有権、借地権など)も明記されます。もし借地権である場合は、その旨と借地期間、保証金や借地料に関する情報も記載されます。連棟式建物である場合はその旨も示されます。

 

これらの詳細情報は、物件の法的な制限やコストに関わる重要な要素であり、不動産投資を行ううえで必ず確認すべき項目です。

 

取引条件等

マイソクには、物件の取引に関連する具体的な条件も記載されています。

 

取引態様(売主・代理・媒介)は前述の通りですが、それに加えて「引渡可能年月」を記載します。引渡可能年月とは、物件をいつ引き渡されるのかというスケジュールになります。これは、購入後いつから物件を利用できるのかを示すものです。

 

また、その情報がいつ公開されたのかを示す「情報公開日」、そして最新の情報に更新された日を示す「情報更新日」、さらに次回の情報更新予定日である「次回情報更新日」も記載されます。

 

不動産の市況は刻々と変化するため、最新情報に基づいた意思決定が行えるよう、これらの情報にも必ず注意するようにしましょう。

 

物件のアピールポイント

マイソクには、その物件ならではの特徴も記載されています。

 

例えば、「リフォーム済み」であれば購入後の修繕費用を抑えられる可能性が高く、入居者にも好印象を与えやすいでしょう。「駅近」であれば高い賃貸需要が見込め、空室リスクを低減できます。その他にも、「角部屋」「南向き」「日当たり良好」「眺望が良い」「セキュリティ充実」「ペット可」など、物件の持つユニークな特徴や魅力的なポイントが記載されます。

 

不動産投資においては、このようなポイントが賃貸づけのしやすさや資産価値の上昇につながることもあるため、投資判断の補助材料として有効に活用しましょう。

 

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